「歌壇」2008-2月号
歌誌「歌壇」2008-2月号を読みおえる。
特集の「初めての原稿料」が、軽くてよい。少し覗き見趣味的だけれども。歌論よりテーマを採って特集されると、重くていけない。
前登志夫の連載、俵万智の「青いシャツ着て」もなつかしい。
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歌誌「歌壇」2008-2月号を読みおえる。
特集の「初めての原稿料」が、軽くてよい。少し覗き見趣味的だけれども。歌論よりテーマを採って特集されると、重くていけない。
前登志夫の連載、俵万智の「青いシャツ着て」もなつかしい。
「コスモス」2008-2月号を予定のところまで読む。
「伊藤麟氏追悼特集」は悲しい。僕は「その二集」の時に2度、特選になったけれども、2度とも伊藤麟氏の選だった。しかも初めの時の前に、電話をくださり、「コスモスの伊藤麟です」と述べられるのだ。僕はどぎまぎして「お名前は存じております」などと答えたものだ。
しかしその後、僕が「あすなろ集」の頃は氏は「その一集」の選をされ、僕が「その一集」になった時には氏は選者を辞していられて、僕の短歌の選をしていただく事はなく、残念であった。
「伊藤麟全歌集」の刊行が期待される。
綜合歌誌「歌壇」2008-2月号の記事「歌壇ニュース・クリップ」によると、第8回現代短歌新人賞を、小島なおさんが歌集「乱反射」によって受賞した。彼女のスタートに更に加速度がついたようで、喜ばしい。
彼女の母親は、言わずと知れた、小島ゆかりさん。文学的才能は受け継がれるものだろうか。
先日、「コスモス」「棧橋」の歌人、桜井千恵子さんが第2歌集「風語(かぜのことば)」(2008年、柊書房・刊)を送ってくださった。彼女は宮城県在住。
彼女はその名のごとく恵まれた人のようで、海外旅行詠、国内の旅行詠、美術館等を訪れての作も多い。また娘さんの結婚、初孫の誕生と喜びを詠っている。
「2007年」の章は、夫君が60歳で急逝された、挽歌が埋めている。仲の好いご夫婦だったことは、作品や「あとがき」で知られるが、それだけいっそう亡き夫君への想いは哀切である。
しかし短歌の功徳によって、彼女の生活と心が立ち直っていくであろうことは、次に引く掉尾の1首によっても知られる。
風上に生れてひしめく風の語やわがふたひらの耳立てて待つ
「柊書房」にファクス註文して送って貰った本、小島ゆかり歌集「ごく自然なる愛」を、3日かけて読みおえる。
香ばしく日灼けの匂ふ娘らに意味ワカンナイわたしの憤怒
とても苦労して育てたのに、娘たちは自分で育ったかのように若さを謳歌している事への憤り。少し違うが、僕は一人息子の若さに嫉妬する時がある。
みちのくの旅のをはりは折詰の山菜料理くきくきと食む
前向きの歌が多いなかで、少し後ろ向きの歌。つつましく、清しい作になっている。
反抗期終はりたるらし小言いふわれにやさしく遠い眼をする
こういう様子をわが子にされたら、親はとても寂しい思いをするだろう。
老眼鏡かけねば足の爪切れぬこんなさびしさ思ひみざりき
中年期の、思いは若いのにからだが老いてゆく淋しい生に彼女も入っていく。
彼女の短歌は茫洋と大柄で、優しさのきわみである。
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