« 2008年8月 | メイン | 2008年10月 »

2008年9月の26件の記事

2008年9月16日 (火)

トマス・モア「ユートピア」

003  トマス・モア「ユートピア」(岩波文庫、1970年、第20刷)を読みおえる。

 1516年に、このように先進的な思想が展開された事に、とても驚く。文芸復興(ルネッサンス)と宗教改革(ルターによる)の時代とは言え。

 ただ第2巻第7章で、奴隷の存在を認めている点には、同意できない。

 また同巻第8章「戦争について」で、やむをえぬ戦争を認めている事は、反戦・平和主義の戦後教育を受けた者としては、肯定しがたい。

 同巻第9章の「ユートピアの諸宗教について」にも、無信仰の僕には、違和感がある。

 今日の夕方、帰宅すると、「コスモス」10月号が届いていた。

2008年9月15日 (月)

室井滋「すっぴん魂・愛印」

001  女優・室井滋のエッセイ集「すっぴん魂・愛印」(1999年、文藝春秋・刊)を読みおえる。題名は「すっぴんこん・あいじるし」と読む。

 彼女や周辺の人々に起こる様ざまなトラブルを、心を込めて解決し、解決しようとしている。

 両親を若くに亡くし、兄弟姉妹は初めからなく、富山県出身の彼女が、ひとり東京で女優を張っていくのは、並たいていの事ではないとおもわれる。

 彼女には他にもエッセイ集があるが、僕の持っている彼女が書いた本は、これまでに紹介した5冊で全部である。

2008年9月14日 (日)

歌集「円型」

002  前川明人さんの第5歌集「円型」(2005年、本阿弥書店・刊)を読みおえる。

 彼は「未来」「幻桃」所属。当時、「長崎歌人会」相談役。第4歌集「空間」にて、「第18回長崎県文学賞」受賞。

 彼はかなり狷介な方のようだ。次のような歌がある。

毒舌者理不尽ものと言わば言え磨いて齧らん酸っぱいりんご

 ご自分では、次の歌のように、

反骨を持つことわびし縹渺の海ゆくヨットの傾きににて

と「反骨」だと納得しているようだが、そのような生き方はつらく、寂しいものだろう。その因は、17歳の夏の長崎被爆と、敗戦の経験(その翌21年から、彼は作歌を始めている)から来ているようだが。

 集中、僕の1番好きな歌は、次の1首である。

どこでどう食い違ったのか青空の雲を食べいる公園キリン

2008年9月13日 (土)

甘柿

002  庭に鵯がかしましく、甘柿が熟れる頃となった。

 写真は、高枝切り鋏で採ってきた、葉付きの3個。

 甘柿は食べてみると美味だが、僕たち夫婦は二人とも歯がわるいので、ほとんど食べず、みなが雀や鵯の餌になってしまう。庭が鳥の鳴き声でにぎやかなのも、いいものだが。

 栗と無花果は、ほとんど実らなかった。

2008年9月12日 (金)

「サン=テグジュペリ・コレクション」7冊

005 日本の古本屋」を通して「書肆 秋櫻舎」に注文していた本、「サン=テグジュペリ・コレクション」7冊揃いが届いた。

 この選集の購入は失敗だった。小説4作は文庫本や世界文学全集の端本でも買えるものだし、あと彼の書いたものとしては、わずかな書簡しかない。残りの大きな部分は、当時の彼の周囲にいた人の回想文が占めている。

 僕としては、周囲の人の回想文は、要らない。

 「サン=テグジュペリ著作集」の端本の、「城砦」3冊や「母への手紙/若き日の手紙」を買って、彼の本を充実させよう。

2008年9月11日 (木)

「鮎川信夫全集 Ⅰ 全詩集」

002  「鮎川信夫全集 Ⅰ 全詩集」(1989年、思潮社・刊)を読みおえる。詩集未収録詩篇、翻訳詩を含め、687ページの大冊である。

 彼の述作の中心である、生涯の詩を数十言で述べることは出来ないが、スケッチを描いてみたい。

 戦前はモダニズム詩人であった彼が、従軍と敗戦を経て、戦死者の「遺言執行人」として現れ、その志はのちの生涯を貫いた。

 海外ミステリー小説の翻訳などで生計を立てながら、二重生活者として、詩や評論を発表し続けた。

 1つ気づいた事がある。彼の詩に登場する他者は、1篇にたいてい一人(亡き友人、妻、娘、恋人)である。中期以降の田村隆一の詩に、多くの個人が現れるのと、対照的である。もちろん、双方に例外はある。

 彼の詩集篇の、最後の詩は「風景論」という。第4連の4行を引用する。

遠ざかる列車のひびきに

家族あわせの円居が

窓の灯をにじませる夜には

いつもかわらぬ休息がありますように

        鮎川信夫「風景論」より

 

 

2008年9月10日 (水)

詩誌「アリゼ」第126号

004  兵庫県西宮市に在住の女性詩人SYさんが、手紙を添えて同人詩誌「アリゼ」第126号を送ってくださった。

 期待していた、IKさんの「すずめのオキテ」シリーズが、今号には載っていない。連作を放棄したのだろうか。別の作品「そしらぬ顔で」を載せている。短歌の場合と違って、詩の連作はむずかしい。それと、お節介かも知れないが、野生動物の餌付けという、反・自然的な事をする場合には、物資・時間などの目論見と、長く続ける心構えが、必要である。

 今号では、豊崎美夜さんの「越境」を高く評価する。具象語と抽象語をうまく重ね合わせて、高度な思いを届けている。

2008年9月 9日 (火)

「コスモス愛知」第523号

003  「コスモス短歌会 愛知支部」の支部誌「コスモス愛知」第523号が、竹の子さんから、送られてきた。

 巻頭の「作品」欄、47名×7首の作品は、力作、連作が並んでいて、けっして本誌落ちの作品を載せているわけではないことが知られる。

 「ひびき」欄の僕の拙文はさて措き、「521号作品評」欄の、竹の子さん(本名で書くべきか)の評が暖かい。1名1首の優れた歌を取り上げ、美点を掬い取って述べている。

 批評は、褒め上げて良いと思う。自分の作品のいけない所は、自分が一番よく知っているし、酷評するのが相手の力量を上げるものでは無いと信じる。

 今日は、重陽の節句(菊の節句)である。

2008年9月 8日 (月)

室井滋「すっぴん魂」

001  女優・室井滋のエッセイ集「すっぴん魂」(1997年、文藝春秋社・刊)を読みおえる。「魂」と書いて、「コン」と読ませている。

 エッセイの種が少なくなったのか、執筆当時に近いエピソードが多い。

 1997年といえば、平成不況のどん底時代だったろうか。彼女のエッセイ集がもてはやされた、読者の気持ちが、今の僕にはすでに、わからなくなっている。

 僕の不明もあろうが、タレント本の人気も、移ろいやすいものだ。

2008年9月 7日 (日)

「水上勉選集」他

 「勝木書店ワッセ店」と、同店内の「古本センター」で、買い物をした。そのリストを以下に掲げる。

 新刊本

  • 「尾崎方哉全句集」(ちくま文庫)
  • 「西行物語 全訳注」(講談社学術文庫)

 古本

  • 「水上勉選集」5冊(新潮社、全6巻のうち第2巻欠)
  • 「埴谷雄高作品集」第3巻「政治論文集」(河出書房新社)
  • 「〃」第6巻「随想集」(〃)
  • 「インド古典説話集 カター・サリット・サーガラ」4冊揃い(岩波文庫)

 本は山のようにあるが、いつ読めるのか。ただし定年後は、ほとんど本を買えないから、とも思う。

ブログランキング

  • 応援のクリックを、よろしくお願いします。
  • ブログ村も、よろしくお願いします。

最近のトラックバック

ブログパーツ

  • ツイートをフォローしてください。
  • 3カウンター
  • アクセス解析

更新ブログ

Powered by Six Apart
Member since 04/2007

日本ブログ村

  • 日本ブログ村のリストです。

人気ブログランキング

  • 応援の投票を、お願いします。

アンケート