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2008年11月の27件の記事

2008年11月17日 (月)

原田宗典「海の短篇集」

002  原田宗典「海の短篇集」(角川文庫、平成9年3版)を読みおえる。

 南洋のリゾート地を舞台にした、「私」の異変を描いた短篇小説集である。

 機知、思いつきなど、アイデア勝負の1篇が12作。アイデア勝負の短篇小説を、僕は好まない。

 三浦哲郎の、人生を感じさせる短篇小説が、極上と思っている。

 古いところでは、夏目漱石の「夢十夜」など。

 海外旅行をした事のない僕には、南洋リゾート地の、暑くのんびりして危険なところもある情景を、覗いた思いがしたけれど。

2008年11月16日 (日)

「則武三雄展」

001_2 002  福井県立図書館で「則武三雄展」が催されているので、今日の午後、それを観に行った。

 則武さんは、戦後の福井の詩の世界で、活躍した故・詩人である。数多くの詩集を上梓した。

 また「則武学校」と呼ばれるほど、福井の詩人の多くがその膝下に集まった。岡崎純、広部英一、南信雄、川上明日夫、荒川洋治、外多数(僕もその末席をけがした?)。

 ほかに本の発行元「北荘文庫」を開設し、詩集ほか多くの本を発行し、福井の文学の隆盛に寄与した。

 展示では、ネクタイ、眼鏡などの遺品、自筆原稿、「北荘文庫」の本など、貴重なものだが、やや形式的に思えた。

2008年11月15日 (土)

詩画集「詩集『べと』から『だんだんたんぼ』より」

002  福井市在住の詩人・山田清吉さんがお手紙とともに、自選詩画集「詩集『べと』から『だんだんたんぼ』より」(2008年10月、福井新聞社・刊)を下さった。

 酒井由美子さんが漉いた竹紙に渡辺淳(あつし)さんが絵を描き、山田さんが自作の詩を筆で書いたもの。3者の味わいのあるコラボレーションである。

 詩集のなかで、僕としては最新詩集「だんだんたんぼ」(2004年、紫陽社・刊)が好きだ。この詩集は、「北陸現代詩人賞」を受賞している。

 詩「ぐうだら」の冒頭、

子供に示しがつきませんと

息子の嫁はんに怒られ

夜中にふいと家を出た

に笑ってしまった。また「百姓の手(子供の手)」の中ほど

お前は悪くないその盗んだ手が悪いんじゃ

さあその手を切り落さねばと恐ろしい剣幕

押し切りの上にこの手を引きずり乗せる

にはジンときた。僕も悪事を重ねる身ではある。

2008年11月14日 (金)

詩誌「アリゼ」第127号

002 兵庫県在住の詩人、梓野陽子さんが、同人詩誌「アリゼ」第127号を送ってくださった。

 「アリゼ」は、兵庫県在住の詩人を中心とする詩誌である。

 夢や回想の詩が多い時代は、悪い時代だ。リルケは「若き詩人への手紙」の中で、「たとえ牢獄にあっても、少年時代の思い出を、詩にできる」と書いたけれども、それは牢獄という、悪い環境での詩作である。

 梓野陽子さんは、エッセイ「湯川さんの笑顔」のみを、同誌に寄せている。

 出版社「湯川書房」社主の湯川成一さんが亡くなられて、3ヶ月頃の文章である。彼女が亡き人を敬愛し、偲ぶ思いのよく伝わる一文である。

2008年11月13日 (木)

有吉玉青「黄色いリボン」

003  有吉玉青の小説「黄色いリボン」(幻冬舎文庫、平成9年・刊)を読みおえる。

 著者は作家・有吉佐和子の娘さんである。

 ストーリーは、若い女性がアメリカのボストンに留学中の物語である。時期は、湾岸戦争とその前後。

 アメリカが湾岸で戦争中なのに、学生や一般市民は、勉強やレクリエーションに熱心で、戦争の影の無さへの違和感が大きなモチーフである。

 また主人公は日本人の青年留学生と同居を始め、その青年の帰国決定によって、同居も終わろうとしている。愛憎のどろどろは殆ど無い。

 著者の「文庫版あとがき」でも明らかなように、作品はフィクションだけれども、筋の展開や描写はあまりにも鮮やかである。若い感性と、文人の血筋だろうか。

2008年11月12日 (水)

「林達夫評論集」と「米欧回覧実記」5冊

004 007

 JR福井駅前の古書店「好文堂」で、岩波文庫「林達夫評論集」(中川定久・編、1988年・刊)を買った。

 彼は在野にあって批評を書き、第二次大戦中に戦時下抵抗もあったようだ。彼の文章を1度は読みたいと思っていた。

 「日本の古本屋」を通して「天牛書店」に注文していた本、岩波文庫「特命全権大使米欧回覧実記」(久米邦武・編、田中彰・校注、1992年・刊)5冊揃いが届いた。紙カバーの岩波文庫、5冊揃いとしては安価だった。

 届いて気づいたのだが、仮名はすべてカタカナで、濁点も付いていない。僕は地理・歴史に詳しくないこともあって、読みこなせるかどうか、わからない。

 「勝木書店ワッセ店」内の「古本センター」に、この本の端本(パラフィン紙カバー)があったから、内容を確認しておけばよかった。

2008年11月11日 (火)

庭の花2つ

001 005                          晩秋の庭でも、わずかに花が咲いている。

 1枚目の写真は、椿の白花である。花粉と蜜で、少しよごれている。

 春咲きの木の筈だが、1輪だけ早咲きしたようだ。

 2枚目の写真は、小菊の花のアップである。数年前、ホームセンターでか、「たけふ菊人形祭」の土産でか、買った矮化菊の1鉢より、花のあとに地におろしたもの。

 今は本来の性質に戻って、丈が高くなっている。

2008年11月10日 (月)

洋蘭の花

001  職場の温室で、1株の洋蘭が3花を咲かせた。この花に至るまでに、長い話がある。

 3年前の秋、灯油の高騰などにより、僕は温室での洋蘭栽培を諦め、40鉢ほどを職場のT主任に譲った。主任はそれらを、職場の温室に持ち込んだ。

 しかしその後の世話が悪く、ほとんどの株が枯れてしまった。生き残ったけれどボロボロの6鉢をIさんの勧めで、今年6月に僕が自分の温室に持ち帰り、植え替えなどして育てた。10月にまた職場の温室に持ち込み、1株が乏しい花を咲かせたものだ。他の株は、2、3年、培養しないと花を咲かせないようだ。

 この花の株には名札がなく、品種名のわからない洋蘭は、金銭的価値がほとんど無い。まあ珍しいきれいな花なので、他の株とともに育てていこう。

2008年11月 9日 (日)

’08忘年歌会

002  今日の午前11時より「わだつみ」にて、「コスモス短歌会」福井支部の忘年歌会が催された。

 僕も昨年の忘年歌会より1年ぶりに支部歌会に参加する。参加者は10名であった。

 12時までは歌会である。指導者の支部長・漆崎氏が穏やかになられたのか、僕の1首も結句を直されただけだった。

 忘年会では、ビール、日本酒、美味しい料理、短歌にまつわる話を味わいながら、至福の時間だった。しまいがたに漆崎氏より、自身の生涯について感動的なお話があり、僕も「頑張りつづけねばならない」と思ったことだった。

2008年11月 8日 (土)

文学誌「青磁」第25号

004  僕とこぐま星座さんとの二人詩誌「群青」第13号を送った返礼に、定道明さんと張籠二三枝(はりこ・ふみえ)さんが、同じ文学誌「青磁」第25号をそれぞれ送ってくださった。

 「青磁」は、福井県内の書き手による文学同人誌で、おもに小説と作家論を載せている。

 僕は今回、定さんの「橘曙覧記念文学館 建設時の思い出」「『春さきの風』考」と、張籠さんの「われも忘れじ」のみを読んだ。

 定さんの「橘曙覧記念文学館 建設時の思い出」は、アメリカのクリントン大統領のスピーチにおける引用から、橘曙覧フィーバーが起こり、地元の関係者が記念文学館建設へ一気に動いた、当時の熱気が伝わる回想記である。

 「『春さきの風』考」は、中野重治の短編小説「春さきの風」の当時の評価や、モデルの家族の生涯を、周囲の人の文章や実地調査によって、押さえどころを効かして描いた、丁寧な評論である。

 張籠さん(高校文芸部の1年か2年の後輩)の「われも忘れじ」は、同窓会を描いた小説で、特別な事件は起こらない。ただ、うしろめたさのような翳りがあり、それは現在の生活が幸せなところから来ているのかも知れない

 この小説を含めて、彼女の小説にはしばしば高校文芸部時代のエピソードが描かれ、当時の前衛詩熱に付いて行けなかったコンプレックスが尾を引いているようだ。当事者の一人として僕は、彼女に済まない気持ちになる。

 もっとも彼女は、「青磁」「日本海作家」などに次々と小説の力作を発表しているので、それはそれでよいのだが。

 

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