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2009年4月26日 (日)

桑原正紀歌集「一天紺」

001  東京都に在住の歌人・桑原正紀さん(「コスモス」選者)が、歌集「一天紺」を送ってくださった。

 なお著者の名前の読みは、「くわばら まさのり」ではなくて、「くわはら まさき」である。

 奥様が大病をされた後の歌集「妻へ。千年待たむ」に先行する5年間の作品を集めた、実質的な第5歌集である。

 中年の教師の日常生活が、楽しいような不安なような気分の流れの中で、描かれる。

 地方から都会に出て、良心的に生きようとする姿勢は尊い。

 以下に6首を引く。

成績のふるはない子とその母がうつむきてわが前に坐れり

毛皮など脱ぎすてたいといふやうな貌して犬があへぎつつくる

新しき靴おろすとき室内で履いてみる癖いまだにぬけぬ

その形シンプルにして全きゆゑ変はらざるもの例へば担架

このごろは月が三つに見えることなぜか妻には言ひそびれをり

学校に来られない日は水槽の亀をいちにち眺めてゐると

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