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2010年2月の23件の記事

2010年2月16日 (火)

図録「三井文庫名品展 書画と茶陶の美」

002  図録「三井文庫名品展 書画と茶陶の美」を見おえる。

 福井県立美術館、平成15年。

 この展覧会には、円山応挙「雪松図屏風」、「志野茶碗 銘卯花墻」の国宝2点と、重要文化財5点を含む、名品88点が展示された。

 「三井文庫」は、財閥・三井家が収集した美術品を収蔵する。

 書画骨董に破格な値がつく問題は別として、美術品が私人に集まったことは、それらの保存と伝承にとって、結果的には良かったのではないか。

 美術館のない時代もあったのだから。

 図録を見るより、展覧会で実物を鑑賞すべきだとは思うのだが。  

2010年2月15日 (月)

沢村貞子「わたしの茶の間」

002  沢村貞子のエッセイ集、「わたしの茶の間」を読みおえる。

 光文社文庫、1997年・6刷。

 彼女のエッセイには、下町娘出身らしい粋と、芝居の世界(映画・舞台・テレビ)で長く活躍してきて、俳優への厳しく暖かい眼がある。

 彼女は晩年に幾冊かのエッセイ集を出し、評判が良かった。僕も何冊かを読んだ。

 しまいには献立集まで、出版社に請われたのだろう、本にしている。

 彼女の晩年が、その夫とともに、穏やかなものであったらしいことに、僕は喜ぶ。

2010年2月14日 (日)

椿「薩摩紅」

002_2  庭で赤花の椿が1輪咲いた。

 品種は「薩摩紅」。

 椿と山茶花で2,400種の写真と解説が載る、「日本ツバキ・サザンカ名鑑」(誠文堂新光社)を見ると、名前と写真はあるが、解説がない。別名で出ているのか。(更に調べると「大隈直(おおすみのあたい)」の名で出ていた)。

 この品種は赤花千重で、花びらが折れており、優美である。

 先年、乞われて挿し木をし、3名かに分けたが、苗が小さくてうまく行かなかったのだろう、その後の話を聞かない。

 庭の椿の木は、大木にする気がないので、肥料をやらない。小柄に育っている。

2010年2月13日 (土)

高橋竹山「津軽三味線」

001  「アマゾン」のマーケットプレイスの店に注文していた中古CD、高橋竹山「津軽三味線」が届く。

 1996年、日本クラウン・発行。

 このCDには高橋竹山の三味線曲(合奏4曲を含む)15曲が収められている。

 「津軽じょんがら節」が、旧節、中節、新節の3曲、「津軽よされ節」が旧新の2曲、「津軽小原節」が旧新2曲、含まれている。

 彼が得意としたらしい「津軽音頭」は、時どき少しめくれたような音も混じって気を引くが、調べがややに俗なようだ。

 「津軽よされ節」新節が、襟を正してなおかつ軽快で、こころよかった。

2010年2月12日 (金)

詩誌「角」第19号

003  詩人のKMさんが郵送で、同人詩誌「角(つの)」第19号を貸してくださった。

 2010年2月・刊、同人13名。

 「角」は、福井県嶺南地方に在住の人がおもな、同人誌である。

 巻頭、O純さんの「悔恨」がせつない。立派に生きてきた人なのに、老後に悔恨に責められるという。

 全3連の最終連を引く。

悔恨のにが味に

かなし味を加え

ねんぶつにまぶして

飲みこんでいる

 編集者のK久璋さんは、詩「背中を流す」を載せる。乳癌の疑いが晴れた妻とその夫(おそらく共に還暦を越えている)が、風呂場で背中をながしあっている様は優しい。

 家高勝さんの映画論「僕の懐かしシネマ館 8 (番外編) クリント・イーストウッドの『グラン・トリノ』」が、6ページにわたって熱い。

2010年2月11日 (木)

詩誌「木立ち」第105号

002  福井市に在住の女性詩人KMさんが、同人詩誌「木立ち」第105号を貸してくださった。

 2009年12月、木立ちの会・発行、同人9名。

 N悦子さんの「防人、入れ子の夢」は、防人のいた時代と現在のダブルイメージで、遠い地へ行く夫をうたう。

 I秀子さんの「地底湖」は、「凍付く寸前の薄幸」の心情を、ゆたかな比喩で描いて、優れている。

 K明日夫さんの「冬の便箋」は、形式上の冒険が、どれほど効果を上げているか、疑問である。

 毎号、山岳エッセイを寄せているM迪夫さんの「クレバスにおちる」は、彼が劔岳のクレバスに落ちたことにまつわる話と、自力脱出の様を描いて迫力があり、珍しい題材だ。

2010年2月 9日 (火)

「日本刀 至高の鉄の芸術」

003  図録「日本刀 至高の鉄の芸術」を見おえる。

 2000年、富山県民会館美術館。

 このブログの、2月4日付け記事を参照されたい。

 日本刀を「鉄の芸術」と美化するけれど、殺傷武器であった時代への郷愁が残っているような気がしてならない。

 解説に「小板目肌つみ、地沸厚くつき、地景入り、…」とあっても、術語を知らないので、何のことか、さっぱりわからない。

 物事は何によらず、奥が深い。

 この美術展では、国宝、重要文化財を含む刀剣の外、鞘、鍔などの刀装具も展示された。

2010年2月 8日 (月)

柴田翔「燕のいる風景」

003  柴田翔の小説、「燕のいる風景」を読みおえる。

 新潮文庫、昭和57年・刊。

 柴田翔は、60年安保の挫折を描いた「されどわれらが日々」で売り出した作家である。昔にそれを読んだが、とくに感慨はなかった。

 この本は、「連作短編 あるいは ごくゆるやかな長編」と副題されている。

 それぞれの短編の時代設定が、第二次大戦中から戦後の経済成長期に、移ってゆく。

その時期に僕はあまり関わっていないが、庶民の姿を、男女関係を含めて、うまく描写していると思う。

 幻想性を含む美しい描写、構成もうまい。

 ただし物語の結着を自分で付けられないなど、作家としての誠実さに欠けるところがあると思う。

2010年2月 7日 (日)

山川方夫「夏の葬列」

002  山川方夫の小説集「夏の葬列」を読みおえる。

 集英社文庫、1997年7刷。

 彼は24~26歳ころ、戦後第3次「三田文学」の編集長として敏腕を振るい、当時まだ慶応大学の学生だった、坂上弘、江藤淳ら、多くの新人を発掘した。

 彼はまた、「海岸公園」などの中編小説、「夏の葬列」「お守り」などのショート・ショートを書いたが、文学賞には恵まれなかった。

 彼は1965年、34歳の若さで、交通事故に遭い亡くなった。

 彼の友人たちの尽力があってだろう、1970年に冬樹社より、5巻本の全集が出版された。

 慶応大学の文学仲間、田久保英夫が数々の文学賞を受けながら、没後に全集が出ていないことに比べると、山川方夫は幸運だった。

2010年2月 6日 (土)

「詩の研究会」

002  同人詩誌「群青」のメンバー4人による「詩の研究会」が、今日正午より、F市内の某カルチュアセンターの1室で催された。

 メンバーは、僕とこぐま星座さん、それにKMさんとAUさん(あとの二人は女性)である。

 まず先日に金沢市で催された詩の講演会に参加した、こぐま星座さんとAUさんより、報告があった。講演は北川透による、中原中也論、とのこと。

 そのあと、戦後派詩人・鮎川信夫に関する語り合いに入る。テキストは、僕が用意した彼の2編の詩のコピー。僕とこぐま星座さんの持参した「鮎川信夫全集」第1巻「全詩集」も参照した。

 途中より、詩、詩人についての一般論に移るようだった。

 僕の持参した電子辞書も、2、3度の出番があった。

 2時半過ぎに散会した。

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