角川書店「増補 現代俳句大系」第1巻(昭和56年・刊)より、山口青邨「雑草園」を読みおえる。
原著は、昭和9年、龍星閣・刊。
句風は適度に新しく、適度に洒落ている。僕の心惹かれる作品が多い。
彼は、その後も俳句、文章に活躍し、俳壇に重きをなしたらしい。
この「大系」に、あと何冊の句集が入っているか知らないが、楽しみである。
以下に、5句を引く。
大風の寒き涙や杉ひろひ
すゝき穂に出て古里を辞するかな
おでん屋の屋台の下の秋田犬
子供等の空地とられて懸莨
釣り上げて金色なるや濁り鮒
彌生書房、昭和48年・刊。
この本は、詩集の「ドゥイノの悲歌」と「オルフォイスへのソネット」、詳細な註解を収める。註解はほとんど読まなかった。
両詩集とも、文庫本などの詩集や、世界文学全集の「リルケ集」などで、何度か読んだ。
難解なところのある詩集で、僕はかつての一時、詩の意味を読み取れなかった。
「ドゥイノの悲歌」10編と、「オルフォイスへのソネット」55編、その他の詩が、わずか23日のあいだに完成された。リルケにとって、霊感の嵐だったのだろう。霊感というのは、創造のインスピレーションである。
(僕は、わずかなアイデアにすがって、詩と短歌を創っている)。
角川書店「増補 現代俳句大系」第1巻(昭和56年・刊)より、11番めの芝不器男(本名)「不器男句集」を読みおえる。
著者は昭和5年、28歳で亡くなった。
句集は昭和9年、友人だった横山白虹の編集、吉岡禅寺堂の選で、発行された。
本人が意図した文学的「転向」のあとの作を、選者は褒めているけれど、僕は佳しとしない。末尾の「ストーブや黒奴給仕の銭ボタン」など、厭である。
以下に5句を引く。
谷水を撒きてしづむるどんどかな
下萌のいたくふまれて御開帳
針山も紅絹うつろへる供養かな
蓬生に土けぶりたつ夕立かな
栗山の空谷ふかきところかな
最近のコメント