小池圭子「プロティアの花」
埼玉県に在住の歌人・小池圭子さん(「未来」会員)の歌集、「プロティアの花」を読みおえる。
文芸社、2003年・刊。
この歌集は、「夕空のゴンドラ」「ガンジスの人魚」に続く、彼女の第3歌集である。
これまでの歌集に続き、海外旅行詠が多い。
アメリカ(2章)、南インド、シルクロード、ベトナム、マレーシア、南アフリカ、と多くの国・地域を旅し、積極的に短歌を詠んでいる。
また夫との国内旅行、日常での歌作にも秀でた作品が多い。
以下に5首を引く。
老医師のべっ甲眼鏡にほこり浮くことしの春の定期健診
垂直に切り立つ岩に若者ら甲虫となり登りゆくなり
駅ひとつ歩く通勤の習慣をおとうと三人その父を継ぐ
計りくれ包みくれ言葉かけくるるわが下町の肉屋の店主
舐められて立ちあがりたる麒麟の仔サバンナの大き虹の輪の下
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