「松本たかし句集」
角川書店「増補 現代俳句大系」第2巻(昭和56年・刊)より、5番めの句集、「松本たかし句集」を読みおえる。
原著は、昭和10年、欅発行所・刊。
彼の父祖は代々の能役者であったが、長男の彼は病弱で能役者を継ぐことを諦めた。生涯、定職に就かず、父や後援者の援助を受け、句作に専心した。
彼にはこのあとに、遺句集を含め、4冊の単独の句集がある。
昭和31年没、享年51.
松本たかしの句は、耽美的とされるが、日常の光景や行為を吟じた句に、僕は惹かれる。
以下に5句を引く。
春草や光ふくるゝ鳩の胸
うつし世の月を真上の踊かな
砂日傘子犬がくゝりあるばかり
煤掃に用なき身なる外出かな
ゆるやかに落葉降る日を愛でにけり
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