中村草田男「長子」
角川書店「増補 現代俳句大系」第2巻(昭和56年・刊)より、7番めの句集、中村草田男「長子」を読みおえる。
原著は、昭和11年、沙羅書店・刊。
この句集名「長子」は、彼の実際の第1子のことではない。
第1句集の意と、本人が長子であり、長子としての生を肯定してのことである。
僕は百姓の次男で、1種の拗ね者であるだろう。
草田男のこの句集の句は、肩肘張ったと感じられ、僕にはなじめない作もあった。俳味を尊び、短歌的抒情を排するようだ。
以下に5句を引く。
つばくらめ斯くまで竝ぶことのあり
軒つゞき縁つゞきなり星祭
女工の目皆んな賢しげ行々子
秋の航一大紺円盤の中
霜踏んで行くや悪夢は昨夜(きぞ)の事
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