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2011年4月の27件の記事

2011年4月18日 (月)

松本たかし「鷹」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第3巻(昭和56年・刊)より、3番めの句集、松本たかし「鷹」を読みおえる。

 原著は、昭和13年、龍星閣・刊。

 「鷹」は、松本たかしの第2句集であり、510句を収める。

 彼は能楽家の長男として生まれたが、病弱のため家を継がず、父や門弟の庇護を受け、定職を持たなかった。

 彼は時事句どころか、父の死も、結婚も句にしなかった。

 根本的に芸術派であり、耽美家であったとされる。

 以下に5句を引く。

かりそめの菊の根分に小半日

下萌の園ひろからずせまからず

春泥に映りてくるや町娘

行春や暗きもの行く海の面

崖紅葉濃ゆきにひたと御堂あり

2011年4月17日 (日)

最近に入手した本

 最近に入手した本を、以下に列挙する。

  1. 室生犀星「我が愛する詩人の伝記」(角川文庫)。Amazonを通して、古書店「尚古堂」より買った。これまでに何度も読んでいる。
  2. 季刊同人歌誌「棧橋」No.106。僕は「子の帰省」12首を載せてもらった。
  3. 同人詩誌「青魚」No.74。編集長のT晃弘さんが、僕の留守宅に置いて行って下さった。僕は、ソネット8編を寄せた。
  4. 総合歌誌「歌壇」5月号(本阿弥書店)。今日、書店「KaBoS ワッセ店」にて買う。
  5. 「オスカー・ワイルド全集」第6巻(最終巻)「書簡 定本・獄中記」。上記店内の「古書センター」にて。

 4と5は、商品券を使って買った。

2011年4月16日 (土)

村野四郎「体操詩集」

Cimg4890  高校文芸部の1年後輩で、今は高僧となられたW孝道氏に、同人詩誌「群青」を贈り続けていたところ、先日はお便りとともに、過分な誌代と、村野四郎詩集「体操詩集」初版を賜った。

 村野四郎(1901~1975)。

 昭和14年、アオイ書房・発行、東京堂・発売。

 限定500部のうち番外、自筆署名箋・付き。

 僕は高校生時代、東京創元社の「現代日本名詩集大成」第9巻(昭和36年・初版)の中に、西脇順三郎「近代の寓話」や竹中郁「象牙海岸」と共に、村野四郎「体操詩集」「亡羊記」を見つけて、喜び読んだ覚えがある。

 「体操詩集」は戦前ドイツ発のノイエ・ザハリヒカイト(新即物主義)に由るとされるが、僕には詩の構成的なところと機智に富むところが、新しく映った。

 W孝道氏は、高校生の僕が村野四郎の作品を好んだことを覚えていなさるが、今の僕は、谷川俊太郎から稲川方人まで読んでいる。

2011年4月15日 (金)

詩誌「間隙」第30号

Cimg4875  詩誌「群青」の仲間であるAUさんが、同人詩誌「間隙(かんげき)」第30号記念号を、譲って下さった。

 2011年3月、間隙出版・発行。

 執筆者5名は、北海道から沖縄にわたり、ネットの利用による編集が要因かも知れない。編集者のA盛勝さんは、沖縄県在住の方である。

 AUさんは、詩「カニ島」を寄せている。祖先が漁師だった設定で、南方の海と生活を描く。

 彼女はまた、エッセイ「中学生の頃の私」を寄せていて、中学生時代(いじめにも遭った)を思い返している。

 O孝和さんの詩「水の町で」が、震災の予見を思わせて、深い描写である。

 A盛勝さんの「三十号(記念号)に寄せて」の短文にも書かれているように、エッセイが盛んで、ページ数ではエッセイのほうが多く、詩誌としては「危機的状況」とも言える。

2011年4月14日 (木)

金子光晴「マレー蘭印紀行」

Cimg4860  詩人・金子光晴(1895~1975)の長編紀行文「マレー蘭印紀行」を読みおえる。

 中公文庫、昭和53年・刊。

 これは彼が、昭和3年~昭和7年の、異国放浪を綴った紀行文である。

 マレーとはマレー半島南部を指し、蘭印とはオランダ領インドネシアを指す。

 その地を一人で、あるいは妻と二人で、金銭の当てのない旅を続けた。

 僕が惹かれたのは、苦力(クーリー)たちの仕事ぶりである。人間扱いされないような待遇で、苦しい仕事をして、毎日を耐えている。

 またゴム園、鉄鉱山に派遣された日本人、娼婦たちの生活にも、興深いものがある。

2011年4月13日 (水)

村松友視「帰ってきたアブサン」

Cimg4857  村松友視(1940~)の短編集、「帰ってきたアブサン」を読みおえる。

 河出文庫、1998年・刊。

 彼は作家・村松梢風の孫である。

 文芸誌編集者を経て、作家・エッセイストとなる。

 直木賞を受賞した「時代屋の女房」は、僕にも面白かった。

 本冊は、ベストセラーとなった「アブサン物語」に次いで、飼い猫アブサンを語った表題作と、猫の出てくる短編小説4編を収める。

 僕が物心ついた頃から、家では猫を飼っていたし、分家後も犬を飼った経験があるから、ペット動物との交流やその死の悲しみも、わかるつもりである。

 それにしても猫は、不思議な身の動かしかたをする動物だ。

2011年4月12日 (火)

詩誌「角」第22号

Cimg4851  あわら市に在住のS章人さんが、同人詩誌「角(つの)」第22号を送って下さった。

 11名の詩11編、ほかに散文4編が載る。

 S章人さんは、詩「斑鳩」を寄せる。

 種子の萌芽から千年を経て大木になり、伐り出されて堂塔となって更に千年を経た樹木への驚異をうたう。

 Y勝さんが、再び映画評論に戻った。

 「僕の懐かしシネマ館 10 アンリ・コルピの『かくも長き不在』」である。

 1962年頃、彼が学生の時に観たその映画を、映画パンフを手掛かりに記憶をたどり、5ページ(3段)にわたって、熱く論じている。

 その映画を観ていず、戦争体験のない僕にも、伝わってくるもののある彼の打ち込みようだ。

2011年4月11日 (月)

「水脈」43号

Cimg4848  詩誌「水脈」43号(2011年3月・刊)を読みおえる。

 ただし「水脈」は「福井詩人会議」の機関誌でもあるようで、たくさんの散文も掲載されるが、それらの多くは、失礼して読まなかった。

 誰しも人生に、大小のドラマはある。それらがイデオロギーに収斂されないよう(今は収斂されようとしていると言うのではない)、願っている。

 T百代子さんの「三丁目のマサイ族」に惹かれる。

 料理上手だった友人に認知症が始まって、トンカツの作りかたもわからなくなって、作者が励まそうという作品である。

 全7連より、第3連のみを引く。

     三丁目のマサイ族

           T百代子

人が壊れていく時 その人の

一番優れた部分からはじまる

氷山の氷が溶けていくように

      (前後略)

2011年4月10日 (日)

県支部4月歌会

Cimg4845  今日(第2日曜日)の午後1時より、F市内のK会館の1室で、「コスモス短歌会」F県支部の、4月歌会がもたれた。

 事前各自1首提出17名、歌会参加者11名。

 U支部長の司会で、プリントの初めより1首ずつ、2名が批評し、支部長の講評のあと添削例が示された。

 各自、ボトル茶などを机上に置くが、会員の分けてくださるお菓子なども摘まんだ。

 途中の休憩時間に、MKさんに「コスモス」上の昇級へ、祝意を述べた。

 今回の詠草には、東日本大震災を詠んだものが多かった。僕は違うけれども。

2011年4月 9日 (土)

高野公彦「うたの回廊」

Cimg4831  高野公彦氏が贈ってくださった2冊の著書(4月2日のブログで紹介)のうち、歌論集「うたの回廊 短歌と言葉」を読みおえる。

 柊書房、2011年4月・刊。

 231ページ、帯。

 なお、もう1冊の「うたを味わう 食べ物の歌」については、拙い感想を、このブログの4月6日の記事に載せてある。

 この歌論集では、「古事記」から、現代歌人、新聞歌壇の投稿まで、様々な短歌を引きながら、現代短歌の様々な問題を論じている。

 中でも僕が惹かれたのは、比喩、枕詞、オノマトペなどの、修辞の問題であった。

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