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2011年5月の29件の記事

2011年5月21日 (土)

「本願海」No.1

Cimg5037  S市にある浄土真宗の寺の御住職、釈誓道さんが個人誌、「本願海」No.1を送って下さった。

 5月14日に、第9回「北陸現代詩人賞」贈賞式でお会いしたご縁だろう。

 「本願海」は、同人詩誌「青魚」より、独立したものである。内部で揉めた訳ではない。

 本誌には、6編の詩と、「断簡集(十一)」として、1行から11行の信仰告白47ページ(B5判2段)が、掲載される。

 彼はいろいろな悩みの末に、真の信仰を得た人なので、ユーモアもまじえて、真剣に述べている。

 鈴木大拙・編著「妙好人 浅原才市集」(春秋社)の現代版である。

 ただし僕は、宗教はマヤカシだと思う。苦しみにあえぐ人が、信仰に入って救われるなら、否定はしないけれども。

2011年5月19日 (木)

「中国仏教の旅 1」

Cimg5029  写真集「中国仏教の旅 1 北京 太原 西安 洛陽」を見おえる。

 1980年、美の美・刊。

 今年1月6日の記事で紹介したシリーズ物(全5冊)のうちの、第1集である。

 仏像や寺院はそれぞれに良い。

 それ以上に僕が惹かれるのは、仏典や石碑(拓本を含む)の筆跡である。

 日本の仮名の筆跡は内容を読めないと面白くないが、漢字はそれだけで興趣がある。

 中国の石碑の拓本をほしいと僕は思う。

 中国を何度も訪れている先輩詩人にその事を話すと、それらのレプリカの拓本なら入手可能だろう、という返事だった。可能ならそれらの1つを入手したい、と思う。

2011年5月18日 (水)

川端茅舎「華厳」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第3巻(昭和56年・刊)より、5番めの句集、長谷川素逝「砲車」を飛ばして、6番めの川端茅舎「華厳」を読みおえる。

 原著は、昭和14年、龍星閣・刊。

 高浜虚子の1行の序と、300句、著者の後記を付す。

 茅舎は昭和6年から、脊椎カリエスでギプスベッドにあったが、昭和10年より散歩・旅行が可能になったものの、昭和15年以後は再び重病の床に就いた、と解説にある。

 詩歌句は、世間的弱者の呟きという面がある(これは僕の見解)のだろう。

 以下に5句を引く。

二三片鴉雷雨にうたれ飛び

栗の花舗装道路は野を縦に

掌に掬ふ陸稲の垂り穂軽きかな

暦売南無観音の扉かげ

鵙猛り柹祭壇のごとくなり

2011年5月17日 (火)

小川洋子「博士の愛した数式」

Cimg5028  小川洋子の小説、「博士の愛した数式」を読みおえる。

 新潮文庫、平成17年4刷。

 80分しか記憶の残らない老数学者と、そこに勤める家政婦、その息子、3人を中心とする物語である。

 第1回本屋大賞を受賞するなど、読者の評判の高かった小説だ。

 しかし、しみじみ・ほのぼの路線を離れて見る事も可能だ。

 博士は認知症がかった老人であり、数学雑誌の懸賞問題を解くしか生き甲斐と収入がなく、家族がそれを支える、というストーリーをファンタジー風に設定し直して描いているとも取れる。

 博士の記憶能力が無くなり(事故以降の)、施設に入所する結末近くも、家族が支えられなくなった老人の行く末の典型と思える。

2011年5月16日 (月)

倉橋由美子「婚約」

Cimg5022  倉橋由美子の小説集、「婚約」を読みおえる。

 新潮文庫、昭和49年7刷。

 この本には、短編「鷲になった少年」「婚約」と、それらよりやや長い「どこにもない場所」の、3編が収められる。

 彼女の「パルタイ」も「スミヤキストQの冒険」も読んだけれども、反左翼、ブルジョア的、知識人的、のイメージも薄れて、今はロマンチシズム的な印象だけが残る。

 「どこにもない場所」では、なぜ生きるか、肉体と意識の乖離、(それに左翼の内情)などの問題を描いて、興深い。

 それらは人生論、哲学、医学、などの本で論じられるべき問題かも知れないけれど。

2011年5月15日 (日)

ベニサラサドウダン

Cimg5019  軒下の鉢物のうち、ベニサラサドウダン(紅更紗満天星)の花が咲く。

 種苗会社の通販で、5種類くらいの変りドウダンの苗を買い、2冬を経たのか、2鉢が残って、花の咲くのはこの1鉢のみである。

 落葉性花木の苗を、鉢で育てるのは苦手だ。

 庭の木蓮類と木瓜、庭と鉢植えの椿(日本種、洋種)など、春の花はたくさん咲いたが、ほとんどこのブログにアップしなかった。

 読んだ本、買った本の報告を、優先したからである。

 春の花の多くを、ポケット・デジカメで写し、CDに収め、また1部はパソコンの壁紙にして楽しんできた。

2011年5月14日 (土)

第9回「北陸現代詩人賞」贈賞式

Cimg5004 Cimg5008















 今日の午後1時半より、福井新聞社「プレス21」にて、第9回「北陸現代詩人賞」贈賞式が行われた。

 今回は、大賞受賞者なし、奨励賞受賞者3名、という結果だった。

 左の写真は、選考委員のひとりである現代詩作家・荒川洋治さんが、講評を述べているところ。

 右の写真は、詩の仲間・小鍛治徳夫さんが、詩集「夜の食す国」で奨励賞を受賞して、賞状を掲げているところ。

 このあと、ノンアルコールのパーティがあり、受賞者の自作朗読や、受賞者の友人による祝辞などがあった。

2011年5月13日 (金)

室生犀星「我が愛する詩人の伝記」

Cimg4985  室生犀星の「我が愛する詩人の伝記」を読みおえる。

 角川文庫、昭和40年・刊。

 帯、パラフィン紙カバー。

 この本は、中公文庫で新しい版があるのだけれど、「日本の古本屋」でも高価なので、古い角川文庫を買った。

 著者は自分を悪小説家と卑下し、当時の故・詩人を持ち上げて書いている。

 詩人への、敬意・友情・愛情に満ちた11章である。とくに夭逝の立原道造、津村信夫を述べた章に好感をもつ。

 僕はこれまで、この本を何度も読んできた。思想・芸術が現実に先立つなら、詩人の交流も、このように自由なものであるだろう。

 僕はこれからも、この本を読み返す事があるだろう。

2011年5月11日 (水)

画集「与謝蕪村」

Cimg4978  「日本美術絵画全集」第19巻、「与謝蕪村」を見おえる。

 集英社、ヴァンタン版、昭和56年・刊。

 函、帯、函にビニールカバー。

 5月5日に購入を紹介したうち、1冊である。

 与謝蕪村(1716~1784)は、江戸中期の俳人・画家である。

 この画集で見るうち、庶民を描いた「田楽茶屋図屏風」、「山野行楽図屏風」は、好感を持つ。

 しかし多くの山水図はいけない。中国の山水を描いた図の、真似を重ねた絵だからである。

2011年5月10日 (火)

大江健三郎「憂い顔の童子」

Cimg4974  大江健三郎の長編小説、「憂い顔の童子」を読みおえる。

 講談社文庫、2005年・刊。

 今年1月2日に(ブログ記事あり)、「取り替え子(チェンジリング)」を読んで以来の、大江健三郎の小説である。

 これまでの彼の小説を読んでいないとわかりにくい所や、この小説では「ドン・キホーテ」(僕はまだ読んでいない)に重ねられるストーリーもある。

 彼は海外への翻訳(と評価)や受賞があり、世界文学としての自分の小説という、自覚があるだろう。その他、老境小説に陥らないよう、工夫がされている。

 また世界の文学の思潮、手法も取り入れてきた彼である。

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