ジョン・アーヴィング「第四の手」
新潮文庫、2冊、平成21年・刊。
異性関係に乱脈なテレビ記者の主人公が、インドで取材中にライオンに左手を食われるものの、その手の移植手術(結果的には失敗する)を縁に、ある未亡人とのほんものの愛に目覚める、というストーリーである。
テレビ局の人間や医師など、庶民の感覚(金銭感覚でなく、倫理感)とずれているように思う。
ジョン・アーヴィングの小説を、僕はずっと読んできたが、「熊を放つ」での鮮鋭なデビューは別として、「オウエンのために祈りを」が今は最も優れた作品のように思う。
宗教感を誉めるのではなく、すべてに意義があるという、予定調和的な(ハッピーエンドでなくとも)主張に惹かれる。
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