寺山修司「月蝕書簡」
寺山修司(1935~1983)の未発表歌集「月蝕書簡」を読みおえる。
田中未知・編、岩波書店、2008年・刊。
今月18日のこのブログで、「最近入手した」6冊のうちの1冊として紹介した。
それまでの全歌集を、思潮社「寺山修司コレクション 1 全歌集全句集」で読んでいた。
僕が高校文芸部員だった頃、彼は劇団「天井桟敷」を旗揚げした後で、歌人としての活躍は、伝説的な話としてのみ読んできた。
未発表歌集の出版は大きな事業だ。しかし帯文で「文学史は読み換えられるだろう」と謳ったり、1ページ1首としたりしないで、普通の薄い歌集として出版されれば良かった。
たしかに歌人の間で評判になり、また売れもしたのだろう。しかし後世の人が愛惜し、繰り返し読まれるには、ささやかな形のほうが良かったと僕は思う。
栞に収められた佐佐木幸綱・寺山修司の対談「現代短歌のアポリア―心・肉体・フォルム」は、短歌より離れたアーティストと、父より結社主宰を継いだ歌人との、かつての前衛歌人の考えを知らされて、興深かった。
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