岡井隆「月の光」
思潮社「岡井隆全歌集」第Ⅳ巻(2006年・刊)より、彼の詩集「月の光」第6章を読む。
扉に次のように書かれてある。「本書は著者のこれまでに書いた詩作品を編んだ「詩集」である。全六章のうち、既刊全歌集と重複のない最終章のみ収録した」。
これまで彼の全歌集を読んできたが、詩作品はこれといって僕の内に残っていない。この第6章には、8編の旧仮名遣いの詩が載る。
彼はその後も詩集を発行し、評価されている。現代詩人の奮起を望みたい。
以下に1編を引く。
愉快な仲間岡井隆
愉快な仲間がゐないことが鉄則涙の河におぼれてゐることが鉄則
知るより先に感じることが鉄則
西久保三丁目を馬にのつて走り抜けながら
老いた 武士 は一瞬 鉄則に鞭打ってしまつた
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