岡井隆「E/T」
思潮社「岡井隆全歌集」Ⅳ(2006年・刊)より、彼の第21歌集「E/T」を読みおえる。
原著は、2001年、書肆山田・刊。
100余首の書き下ろし歌集である。
巻末に、横組み多行分かち書きによる数首があるが、余興と思いたい。このあとに、同じ試みがあるかどうか、僕は知らない。
ネット上で、短歌を横書きで引用する僕でも、定本では縦書き1行であってほしいと願っている。
多く新妻頌より、5首を引用する。
食卓のむかうは若き妻の川ふしぎな魚の釣り上げらるる
若き妻のいやがることをすこし言ふ草いきれする臓器のことを
あぶら匂ふアトリエは隣にしづまれり妻から筆をうばつて久しい
亡き友の書き残したる文よみて宵から夜へ時(とき)濃かりける
zigzagに妻の斜面を降りてゆくあらくさの根が頬にいたくて
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