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2012年3月の29件の記事

2012年3月21日 (水)

詩集「焼夷弾とでんでんむし」

Cimg5769 福井県に在住の詩人、こじま ひろさんが送ってくださった、第1詩集、「焼夷弾とでんでんむし」を読みおえる。

 能登印刷出版部、2012年3月2日・刊。

 こじまさん(1926年・生)は、俳句を創り(「雪解」にて)、短歌を創り(「百日紅」等)、詩を創り(「山吹文庫」等)、多才な方である。

 第二次大戦で父を亡くし(「あまから」「追憶」)、空襲に逃げ惑い(「鉛筆B29」)、敗戦を迎えた。

 「種の不思議」では、一定地の1種類の種が、時期を違えて芽吹き、その後の自然が悪条件でも種族保存できるようになっている、という生命の不思議を伝えている。

 他に「たにし」「でんでんむし」での、1行の字数を揃える詩など、試みている。

2012年3月20日 (火)

藤原定「環」

 沖積舎「藤原定全詩集」(1992年・刊、限定500部)より、5番めの詩集「環」を読みおえる。

 この3月9日に、詩集「吸景」を紹介して以来である。

 のびやかな比喩の作品が多い。

そんなふうに死というものも

生の変容流転にすぎないのだ

    「甲斐駒のうしろから」より

 上記のように輪廻や、あの世を信じられれば、老期も生きやすいのだが。

 短い詩を1編、まるごと紹介する。

 

  山にしたって

     藤原定


山にしたって沈黙しているのではない

だが発音できるのは二つ三つの母音ばかり

しかもオクターヴがあまりに低いので

ぼくらの耳にはききとれないが

草木はみなそれを全身できいているし

青空は見ひらいた眼でききとっている

鳥は翼をのばしきったまま

母音ばかりのフーガ旋律の上を

閑にまかせて波のりしている

2012年3月19日 (月)

電子書籍版「立原道造詩集」

 電子書籍化した「立原道造詩集」を、CDより読む。

 原本は、角川文庫「立原道造詩集」、昭和34年17版。

 中村真一郎・編、216ページ(巻末目録、奥付け等を含め)。

 この本ではほとんどすべて、ソネット1編を見開き2ページに収めてあり、読みやすい。角川文庫の異版では、それが崩れているものもある。

 CDよりこの本を読むのは2回めで、初回は2011年9月22日である(記事あり)。

 7回に分けて読み、今度は少しメモを取った。

 某氏のエッセイで、授業に出て、皆で囃したという「私の胸は 溢れる泉!」というフレーズは、ソネット「ひとり林に……」の中にある。

 僕の好きな2行「ある日 悲哀が私をうたはせ/否定が 私を酔はせたときに」は、ソネット「午後に」の中にある。

 物語「夜に詠める歌」に「さやうなら 危機にすらメエルヘンを強いられた心!」とあるように、立原道造(1914~1939、享年24)は、夢見るだけの青年ではなかった。

 晩年に、献身的な恋人を得たことは、彼の幸せの1つだったろう。

2012年3月18日 (日)

「歌壇」4月号と、パソコン本

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 昨日の午後、商店集合地「ワッセ」へ行き、書店「KaBoS ワッセ店」へ入った。

 総合歌誌「歌壇」は、ここで買うようにしている。ネットでも買えるが、1月に1回くらいは新刊書店に入らないと、見落としの本があっては困る(?)。

 「歌壇」4月号を買う。特集は「厨歌と厠歌―キッチンとトイレの歌」である。編集部の、特集の設定の苦労が偲ばれる。

 パソコン本の所で、「パソコンで困ったときに開く本 2012」を買う。

 家に「パソコンで困ったときに開く本 Office2010」があるが、今度の本はパソコン全体について解説してあり、「ウィンドウズ7対応版」なので、更に便利だろう。共に朝日新聞出版・刊。

2012年3月17日 (土)

「ほがらかな探究」

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 今年3月13日の記事で、古本での購入を報告した、「ほがらかな探究」を見おえ、読みおえた。

 福井新聞社、2009年・刊。

 2008年ノーベル物理学賞を受賞した、南部陽一郎氏の幼児期より受賞後までの写真集。及び本人、夫人(1978年、南部氏が文化勲章を受章した際)、同じくノーベル物理学賞を受けた益川敏英氏・小柴昌俊氏、等へのインタビュー、南部氏の各誌への寄稿等を、集めた1冊である。

 彼は旧制・福井中学を卒業しており、それが新制となったF高校を僕は卒業している。僕は後輩である。

 彼はノーベル賞物理学者であり、僕は現場作業員である。月とスッポンの何倍もの差がある。

 それでも僕は、彼を誇らしく思う。

2012年3月16日 (金)

吉本隆明氏、死去

 敗戦後の巨人、詩人・思想家の吉本隆明氏が今日(3月16日)未明に亡くなった。87歳。

 学生時代から少し読んでいた。

 勁草書房の「全著作集」第1期を全巻読みおえたが、彼の路線ではいけないと感じ始めて、彼の著作をすべて某図書館に寄贈し、その後の著作は読まなかった。

 彼には「思想家でなく、詩人として生き残ってほしい」と僕は思った。

 僕の願望にほぼ沿うように、彼の本が多くの人に熱狂的に受け入れられる事は無くなったが、思潮社の「吉本隆明全詩集」(定価2万5千円、僕は古書を購入した)は多く買われたようだ。

 「言語にとって美とは何か」、「ハイ・イメージ論」(未読、蔵書あり)などの原理論は、生き残るかも知れない。

2012年3月15日 (木)

「歌壇」3月号

Cimg5748 総合歌誌「歌壇」2012年3月号を読む。

 ただし増ページ特集の、「アンソロジー二〇一一 テーマ別私の一首 八〇〇氏」を読んでいない。

 800氏の去年1年間の最高作で、読まねばと思った。ただし800首は、歌集としても大部だ。

 それが一人ずつ作風(個性?)が違うのを、気持ちを切り替えて鑑賞するのは、辛い。

 個人歌集のように、「意識の流れ」的に(飛躍はあっても)読み進められれば良いのだが。

 それに、もう次号の「歌壇」4月号が発売されたようだ。

 3月号では、各歌人の底力を見せられる思いの、優れた作品が多かった。

2012年3月14日 (水)

岡井隆「<テロリズム>以後の感想/草の雨」

 思潮社「岡井隆全歌集」Ⅳ巻(最終巻、2006年・刊)より、「<テロリズム>以後の感想/草の雨」を読みおえる。

 テロリズムの感想の歌は、歌集での比重は大きくなく、「<テロリズム>の感想」の章でも、どちらに肩入れするというのでも無い。「樋口一葉、ウサマ・ビン・ラディンに会ひにゆく」の章は、奇想である。

 「~で朗読した」と付記される幾連があるが、朗読による影響は、僕にはわからない。

 以下に8首を引く。

伊勢生まれ知多育ちなるにほ鳥の母は対岸をうたがはざりき

ひとりひとりがさびしい熊に見えてくるあの頃は愉しい敵だつたのに

無精なる鵞鳥の歩みをみて下さい「困つたものだ」きみは言ふらむ

忘れ易き単語を手帳にメモしをりルサンチマンからスノビズムまで

文庫本になつたととても喜んでた 蜜柑の花の似合ふ人だつた

いつか来るさう思つてたがだがこんな形だとは知らなかつた深さだ

すぐそこに茜(あかね)ありしを間違つて遠い夕霧を買つてしまつた

右に折れ左にまがり帽を脱ぎまたかうぶりてわれはゆくらむ

2012年3月13日 (火)

「ほがらかな探究」他

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 久しぶりに「BOOK OFF 米松店」へ行って、2冊を買った。

 前回はいつか調べると(全部を見ていくと大変だから、「買った本」カテゴリで調べた)、昨年末、12月30日(記事 は12月31日付け)で、井上荒野の文庫本小説4冊等を買って以来である。

 どうもネットより本を買う場合が、最近は多い。

 写真の左は、「ほがらかな探究 南部陽一郎」と題する本である。

 彼は、2008年ノーベル物理学賞・受賞者で、この本には、彼の幼児期より授賞式後に至る写真集と、幾つかのインタビューを収める。

 福井新聞社、2009年・刊。

 彼は、僕の出身高校の、先輩にあたる。

 右の写真は、「Androidアプリ 厳選カタログ700!」と題する本である。

 2011年8月での情報で、少し古いかも知れない。

 アプリも日進月歩であろう(ITは秒進分歩といわれる)が、QRコードスキャナーで取り入れられるので、安全で便利なアプリがあれば、スマートフォンに取り入れたい。

 宝島社、2011年10月・刊。

2012年3月11日 (日)

支部3月歌会

Cimg5742 今日午後1時より、「コスモス短歌会」F支部の3月歌会が、F市の某会館の1室で持たれた。

 事前1首出詠14名、本日・歌会参加者10名。

 写真は、途中休憩の時の1枚。

 担当のIさんが作成したプリントにより、U支部長の司会で、指名された2名ほどずつが、1首ずつ批評し、支部長の批評と添削が示されて、歌会は進んだ。

 発言は活発であり、討議と呼びうるほどの場面もあった。

 支部長の話も詳しく、歌会は通例よりずっと時間をかけ、4時半ころに散会した。

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