結社歌誌「コスモス」2012年7月号を読む。
初めより「その一集」特選欄までと、「COMOS集」(「その二集」「あすなろ集」の特選欄)と、「新・扇状地」など。
選者の交替が進んできて、誌面も変わって(新・入会者とともに)きていると感じる。
今号で付箋を貼った作品は、「新・扇状地 88」より、Y恵理さんの「家族素描」15首(165ページ)中の1首。
買つても買つても米のなくなるこの今をなつかしむ日の遠からず来む
作者は、3人の娘を育て、夫の単身赴任の時期に、奮闘中である。
生活や思いを、短歌に残すのは、良いことだ。それで乗り切れる事態もある。
また後のちに、自分を含め人へ、思いを伝える事ができる。日記と違って、作品として。
画像は、ダウンロード・フォト集より、湖の写真。
本文と無関係。
Amazonのマーケットプレイス、「AZBマーケットプレイス店」より、「チェッカーズ」のCDアルバム「THE CHECKERS」を買った。
1992年、ポニー・キャニオン・発売。
チェッカーズは、1983年~1992年(この年の紅白歌合戦でもって解散)に活躍した、男性7人組のロックバンドである。
反抗的で、悲しい歌を歌って、当時の僕は少しファンだった。
今回のアルバムは、(2枚組だと思っていたが)3枚組である。3枚で計41曲、584円(アルバム代244円+送料340円)で、トラブルがない(disc1を聴いた今、それらはない)なら、見付けもの(掘り出し物と言わなくても)だと思う。
disc1には、デビュー当時の「ギザギザハートの子守歌」「涙のリクエスト」「ジュリアに傷心(ハートブレイク)」など、なじんだ曲の外に、聴き知らない曲もあった。
日本エッセイスト・クラブ・編、文春文庫、1989年・刊。
先の6月13日のこの記事、「’85年版 人の匂ひ」で、非難がましい事を書きながら、実はその続きを読んでいるのだ。
60編のエッセイのうち、最も感動した箇所は次である。2度めの癌手術を受けた歌人・上田三四二(うえだ・みよじ)は、「病後の読書」で次のように書いた。
「読んで、何に役立てようというのではない。私はただ知りたかった。世のすぐれた人達がどのように考え、どのように生き、身につけた知恵のかぎりをどのように表現しているかを、味わいたかったのだ」。
またこの本には、詩人のエッセイ、ねじめ正一「いきなり小谷クン」、長田弘「コーヒー屋で馬に出会った朝の話」、三木卓(小説家でもある)「ポケット」を収め、新鮮である。
江國香織(1964~)の小説集「つめたいよるに」を読みおえる。
新潮文庫、1998年9刷。
この本は、2章に別れていて、「つめたいよるに」には9編、「温かなお皿」には12編、短編小説というより、掌編小説と呼び得る作品を収める。彼女の初期作品集とも称し得る。
ファンタジー系と呼べるだろう。ただし天使も妖精も人魚も現れない。
「夏の少し前」では、裁縫の居残りをする洋子が、数瞬のうちに、憧れの涼ちゃんと夫婦になり、母親になり、祖母になり、現実に戻るのだ。夢を見たというオチではない。
またデビュー作とされる「桃子」では、修行僧・天隆(19歳)と、寺に預かった娘・桃子(7歳)が恋をし、別れさせられるのだが、天隆の頭頂から茎が伸び青い花を咲かせ、白い小鳥になった桃子が花に住み着いて5年を経ている、という怪奇的でさえある短編である。
リアリズムとは程遠い。ファンタジーにも真実がある。
先の6月20日(水曜日)の記事の末尾で約束したように、今日(日曜日)の午前に、春江町の「ゆりの里公園」へ行った。
百合の花は、散りがたの株が多かった。昨年は6月19日に訪れている。
今年は天候不順(?)だから、今日でも良いと思ったが、少し遅かった。
短歌を幾つか詠み、コンデジで写真(上掲のもの)を撮った。花畑は広大なゆるい斜面になっており(左の写真)、建物(右の写真の奥)では百合に関わる工芸品などが展示されている。
僕は露店のタコ焼きと、缶コーヒーを買って、広場の芝生に座って(去年まであった、テーブル・椅子がない!)一服した。
売店で百合を土産に買おうとしたが、球根1種3球、莟つき鉢植え1種3鉢と、セット売りのみなので、残念ながら僕は買わなかった。共同で何種か買って、分け合う婦人がいれば良かったのだが。
また僕がセットで買って、近くの親戚へ(花の咲いた鉢株を)分けても良かったと、帰路の車中で思ったが、後の祭りだった。
札幌で古書店を営む「りきちゃん」さんのブログ、「せどり?手持ちでがんばる!マケプレ日記」の6月25日の記事では、「百合が原」を訪れたという事で、百合を含めて公園で多くの花を楽しまれたようだ。
今日午前、久しぶりに書店「Super KaBoS ワッセ店」へ行き、4冊の本を買った。
まずは毎月買っている、「歌壇」(本阿弥書店)7月号である。毎月16日くらいに発売なので、今回は僕が少し遅れた。
Word関係で良い本があったら、と思っていたので、朝日新聞出版の「ワード2010で困ったときに開く本」を買った。同社の「パソコンで困ったときに開く本 Office 2010」、インプレスジャパン「できるWord2010」も既にあるのだが、関心のある肝心な所がわからなかった為め。
文庫本2冊は、同店内の古書店で100円均一ワゴンセールより買った。
吉田絃二郎「小鳥の来る日」(新潮文庫、1996年)は、往時の流行作家の感想集である。
もう1冊は、井上荒野の小説「グラジオラスの耳」(光文社文庫、2008年3刷)である。
2003年、砂子屋書房・刊。
初め「宇宙風」に属したが、カルチュアセンターで岡井隆の添削と講義を受けるようになり、「未来」へ移った。
また投稿を大きな軸として、詠んでいくと「あとがき」にある。岡井隆の跋文「『リテラ・ポプリ」』の著者に」を載せる。
題名は、「ポプラからの手紙」の意味とある。
息子さんの住む北海道を始め国内の旅行、多くの海外への旅行で、詠まれた短歌が多い。
文法と叙述が、押さえられていない作品もある。
ともあれ、歌集を上梓するまでの、短歌への情熱は、讃えられてよい。
以下に7首を引く。
天よりの白き伝言携えて定家かずらは返り咲きたり
鯵鰯銀鱗泳ぎ床下のガラスに映る客人(まろうど)に飽かず
タンバリン打ち鳴らしつつ行進すポプラ並木に白昼夢みる
雁来紅(かまつか)の緋の色みれば行きどまりの思いわずかにほどけゆくなり
あの世でもおみななれかしたらちねの母にふうわり小袖掛けたり
漁火の波にゆらぐを遠々に春呼ぶ螢と漁夫は言いたり
ファゴットはアンダンテなり<トウオネラの白鳥>ひとりシベリウスを聴く
小学館、昭和54年・刊。
箱、月報、179ページ。
写真は、箱の表、岡山後楽園の1部。
幾つかの例を除いて、この巻で取り上げられているのは、社寺の庭が多い。
刈り込まれた植栽と石組を巡らす、池庭である。
仏教伝来以前の、神池・神島の例、庭・以前の磐境(いわさか)磐座(いわくら)の例も幾つか、カラー写真で紹介されている。
カラー写真ページに挟まれた文章では、庭の始まりを説くもの、故郷の名庭を懐かしむものなど、興味は湧くが、今は読んでいる時間がない。
この本での写真を解く、「名庭解説」というページもあるのだが、この記事を書く直前に見つける始末で、これからはこのページだけでも読もうと思う。
同じ「探訪」シリーズで、「城」「古寺」シリーズも持っているので、大事な発見であった。
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