« ゆりの里公園 | メイン | エッセイ集「母の加護」 »

2012年6月25日 (月)

江國香織「つめたいよるに」

Cimg6156 江國香織(1964~)の小説集「つめたいよるに」を読みおえる。

 新潮文庫、1998年9刷。

 この本は、2章に別れていて、「つめたいよるに」には9編、「温かなお皿」には12編、短編小説というより、掌編小説と呼び得る作品を収める。彼女の初期作品集とも称し得る。

 ファンタジー系と呼べるだろう。ただし天使も妖精も人魚も現れない。

 「夏の少し前」では、裁縫の居残りをする洋子が、数瞬のうちに、憧れの涼ちゃんと夫婦になり、母親になり、祖母になり、現実に戻るのだ。夢を見たというオチではない。

 またデビュー作とされる「桃子」では、修行僧・天隆(19歳)と、寺に預かった娘・桃子(7歳)が恋をし、別れさせられるのだが、天隆の頭頂から茎が伸び青い花を咲かせ、白い小鳥になった桃子が花に住み着いて5年を経ている、という怪奇的でさえある短編である。

 リアリズムとは程遠い。ファンタジーにも真実がある。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.mitelog.jp/t/trackback/238785/29281419

江國香織「つめたいよるに」を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

ブログランキング

  • 応援のクリックを、よろしくお願いします。
  • ブログ村も、よろしくお願いします。

最近のトラックバック

ブログパーツ

  • ツイートをフォローしてください。
  • 3カウンター
  • アクセス解析

更新ブログ

Powered by Six Apart
Member since 04/2007

日本ブログ村

  • 日本ブログ村のリストです。

人気ブログランキング

  • 応援の投票を、お願いします。

アンケート