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2012年6月 4日 (月)

永井陽子「小さなヴァイオリンが欲しくて」

Cimg6074 青幻舎「永井陽子全歌集」(2005年・刊、写真はその表紙)より、最後の歌集「小さなヴァイオリンが欲しくて」を読みおえる。

 原著は、2000年、砂子屋書房・刊。

 592首、高瀬一誌・解説。

 彼女は、父50歳、母40歳の、次女として、1951年に生まれた。22歳で父を亡くし、41歳ころに母を送った。

 2000年、48歳の若さで亡くなった。生涯、独身であった。

 「小さなヴァイオリンが欲しくて」」は、没後に刊行された遺歌集である。

 この歌集も、全歌集も、生前の友人の篤い努力によって、刊行されたと聞く。

 以下に6首を引く。

無造作に右へ右へとよぢれゆく風を見しかな疲れたる目は

死して行く宙とはいづこ飛行機の大きな銀の腹を見上ぐる

今はもうかの樟のみが記憶する喪服のわたし二十歳のわたし

癪の種拾ひ集めてベランダのプランターにぞ蒔かむとおもふ

こころより外れし箍がかげろふのもえたつ坂をころがりゆけり

死ぬ前にいまひとたびをかぎりなく美しきもの見たしと思ふ

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