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2012年11月29日 (木)

石原吉郎「禮節」

 花神社「石原吉郎全詩集」(1976年・刊)より、5番めの「禮節」を読みおえる。

 原著は、1974年、サンリオ出版・刊。

 先の11月19日に紹介した、「水準原点」に続く詩集である。

 冒頭の作品「断念」には、シベリア抑留時代の考えと、日本での生活の考えを、切り離そうとするようだ。初めと終わりを引くと、次のようである。

この日 馬は

蹄鉄を終る

あるいは蹄鉄が馬を。

  (中略)

馬は脚をあげる

蹄鉄は砂上にのこる

 「犯罪」では、言葉の意味やイメージから、語感の詩へ移る、と宣しているようだ。初めの3行のみ引く。

音楽であるために

かくもながい懲罰を

必要とした

  (後略)

 「闇と比喩」では、彼の詩の出発が、戦後詩の主流であった、比喩に比喩を重ねるような手法を、採らなかった理由を示すようだ。末尾の4行を引く。

  (前略)

比喩とはならぬ

過剰なものを

闇のかたちへ

追い立てながら

 このあと彼は、後期の「北條」「足利」の詩集へ、移って行く。

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