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Amazonに注文していた、セパレート・ステレオ・セットの新しいスピーカー・セットが、1昨日(日曜日)に届いた。
これまで使っていたスピーカーは、その前のスピーカーが故障した時、財政的に厳しく、安価に買ったものである。
今回、価格帯に相談し、低音の豊かさを期待して(「低音の魅力」の世代である)、ONKYOのD―412EXを買った。2ウェイ2スピーカーである。
Amazonには同価格帯で、トールボーイ型の3ウェイ3スピーカーの品もあったが、低音に弱い、と評価があったので、こちらの品にした。
指定休日(火曜日)の今朝、配線をした。
ユーミンのシングルCD「輪舞(ロンド)」で試聴してみると、低音の響きもよく、高音の伸びもよかった。
二つ前のスピーカーのうち、故障してない1台を、前面に置く低音専用スピーカーにするつもりだったが、今のプリメイン・アンプにその端子がなかった、残念。
中公文庫、1977年・刊。
彼の東南アジア、ヨーロッパを放浪した紀行文、「マレー蘭印紀行」(2011・4・14・記事)、「どくろ杯」(2011・1・28・記事)、「ねむれ巴里」(2011・11・22・記事)に継ぐ、最後の本(いずれも中公文庫で読んだ)である。
この本では、ヨーロッパを脱して、寄り道をし、日本に帰国後までが、語られている。
「マレー蘭印紀行」だけが昭和15年・刊の本で、あとの3冊は、詩人の晩年の回想に拠る。
僕も初めは「凄い記憶力だ」と感心して読んでいたが、読者の人気に応えて、面白おかしく、フィクション(彩りづけ)を交えての、紀行文らしいと思うようになった。
彼が戦時下に日本人でただ一人、反戦詩を書いた根底を、これら紀行文に見出だそうとしても、無理であろう。
スウィフト(1667~1745)の作品、「奴婢訓」を読みおえる。
岩波文庫、1997年15刷。
岩波文庫創刊70年記念復刊の1冊であり、新かなではあるけれど、正字を用いているので、抵抗感がある。
この作品は、著者没後に出版された、未完作である。
僕は彼の主著「ガリヴァー旅行記」を読んでいないし、他に「桶物語」「書物の戦争」も読んでいない。
この作品は、かつての従僕が、家庭に雇われている使用人たち(召使頭より、家庭教師に至る、16職種にわたる)に訓えるという形式で、当時の奴婢の悪習(怠慢、小悪徳)を暴いたものである。
彼が政論家として活躍していた頃の、使用人への不満を噴出させたらしい、文章である。
一昨日に続き、石原吉郎の遺稿詩集「満月をしも」を読みおえる。
1978年、思潮社・刊、箱、帯補。
先の12月11日の記事で、購入報告した本である。
なお彼は、1977年に急死した。
彼をめぐっては、この帯にもあるように、「断念」とよく言われるけれども、内容やいきさつは、詩からのみではわかりにくい。
評論等も含めた、彼の3巻本全集が、花神社から出ているが、ネットの「日本の古本屋」で見ると数万円もの値がついて、僕にはとても買えない。
彼の作品に接すると、接しない人とは、人生が変わる、と複数の文学者が書いている。僕ももっと早く、彼の作品を読むべきだったのだろうか。
彼の短い詩「影」全文を引く。
影
あとへ曳くなら曳かせておけ
横へ曳いたら
横へ曳かせろ だが
その影に
「寂しい」とは
一と言も言わせるな
石原吉郎(いしはら・よしろう)の詩集、「足利」を読みおえる。
花神社、1977年・刊。箱、帯。
短い詩が多く、40編を収める。
これまで紹介してきた「石原吉郎全詩集」の終いの詩集「北條」に継ぐ詩集である。
折り目正しい、礼儀に篤い、彼の境地が表されている。
1編の短さ、1行の短さは、彼が関わった句作の影響があるかも知れない。
俳句の短い定型、季語のしばりでは、思いを述べることは難しい(?)。彼の、言外の思いを汲み取ってもらいたい、という詩作法は、それからも来ているようだ。
彼の短い詩「一期」全文を紹介する。
一期(いちご)
一期にしてついに会わず
膝を置き
手を置き
目礼して ついに
会わざるもの
昭和55年、白玉書房・刊。
箱、宮柊二・題簽、口絵1葉。
昭和38年~46年までの作品、508首を収める。
手許には、この歌集の外に資料がない。
新潟県より埼玉県に移住し、「コスモス」の編集に加わった。
作品に「草木盡心」といった境に近づくものを加えてみたいと願ったようだ。
以下に7首を引く。
ゆたかなる夏迎へをり野の先の青さうるめる麦の畑は
利根川の瀬鳴りとよむにひびきあひ寂しも空のまほら逝(ゆ)く風
木馬道(きうまみち)を黒く素早く走り去り山むささびは谷にひそみつ
うつうつと心沈む日雨後(うご)の山登りてくれば韮白く咲く
水走る這松の下黒百合のしづけき花の逝(ゆ)く春を咲く
樅の葉に結びし霧氷(むひょう)かすかなる輝き放つ尾根の樹海に
歌選ぶ仕事より立ち先生のふとなにごとか呟きますを
なお1部、正字より略字に変えてある。
日本エッセイスト・クラブ編「’00年版ベスト・エッセイ集 日本語のこころ」を読みおえる。
文春文庫、2003年・刊。
先の11月28日に記事アップした「’98年版 最高の贈り物」に継ぐ。
間に「’99年版 木炭日和」があるが、読んだ記憶があるので検索したところ、2009年11月17日の記事にアップしてある。このシリーズを読み継ぐきっかけになった本である。
本集では、不況の長引く予感のせいか、冴えた話は少ないようである。
D佐紀子さんの、グリーンランド(デンマーク領、電子辞書版広辞苑に拠る)の男性と結婚してその地で住む話「イヌイットになった私」、映画評論家だったI偲(しのぶ)さんがハンガリーの映画監督と結婚して住む話「過去と未来を償い終わりぬ(ハンガリー国歌の1節)」など、いざとなれば女性は逞しいなあ、と感嘆した。
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