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2012年12月24日 (月)

川辺古一「北枝」

Cimg6669 川辺古一氏の第4歌集「北枝」(ほくし)を読みおえる。

 1981年、石川書房・刊。

 箱、題簽(本体の)・宮柊二、501首。

 1975年(49歳)~1980年(54歳)の作品である。

 氏の経歴については、第3歌集「駅家」を紹介した、このブログの2012年11月27日の記事を、参照されたい。

 自然、社寺への旅行詠に氏は、平静というより沈潜した心境を見せる。

 心の騒がしい僕は、畏怖さえ感じる。

 以下に8首を引く。

紀三井寺急階段に息喘ぐわれを笑ひて老婆は立てり

松本の石仏群を見にゆきて三日も経つに子は帰り来ず

冷害を嘆く農夫と白河の関あといでて東へ向ふ

水槽の底に葛粉の固まるを鉄槌もちて人は割りゆく

乾きつつ白く光りて縁側に張子の馬の数頭ならぶ

弟の葬儀を見むとあつまりし少年達にキャラメル配る

七重八重石の仏にからみつき花咲かせをり定家かづらは

渓谷に秋の光の及ぶとき影のごとくに虹鱒泳ぐ

 なお漢字の1部を、正字より略字に替えてある。

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