福田蓼汀「山火」
角川書店「増補 現代俳句大系」第6巻(1981年・刊)より、13番めの最後の句集、福田蓼汀(ふくだ・りょうてい)「山火」(やまび)を読みおえる。
先の7月6日の記事(←リンクしてある)、加倉井秋を「胡桃」に続く句集である。
原著は、1948年(昭和23年)、かに書房・刊。
虚子の例によって長い序、600句、後記を収める。
福田蓼汀(1905~1988)は、陸軍中将の父を持ったが、戦争吟、反戦吟どころか、敗戦を吟じた句も見せない。尋常ではない。
俳句に美を求める芸術至上主義の立場をとったが、それは結果としての方向性だろう。
以下に5句を引く。
寒菊と白き障子を隔て住む
夕顔や今日は言葉の多かりき
苧環や判官の墓姫の墓
大陸の綺羅星の夜を暖房車
人よりも冬木親しと病み籠る
異常気象が常態化している日本である。
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