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2013年8月の32件の記事

2013年8月21日 (水)

佐野まもる「海郷」

 角川書店「増補 現代俳句大系」(全15巻)の第7巻(1981年・刊)より、5番めの句集、佐野まもる第2句集「海郷」を読み終える。

 同巻では先の8月16日の記事(←リンクしてある)で紹介した、西東三鬼「夜の桃」に継ぐ句集である。

 原著は、1948年、青潮社・刊。

 水原秋櫻子・序、334句、後記を収める。

 佐野まもる(1899~1984)は、1946年早春~1947年歳晩(45歳、46歳)、瀬戸内の伯方島に官勤めをし、解説で「この孤島で戦災のために傷ついた心身をしずかに養い、かつ詩心を培うことのできたのは、実によい運のめぐり合わせであった…」と記される。

 西東三鬼「夜の桃」とは対照的な句風だが、佐野まもるも郷里・徳島市へ帰ったのちは、句風が転回した。

 以下に5句を引く。

春愁の喫水ふかく船ゆけり

章魚干せば天の青さの炎ゆるなる

丘越えて蜑がかつぎて来る神輿

ことごとく海の句を書き星まつり

牡蠣の岩踏みつたひ来て隣り字(あざ)

Photo写真素材集サイト「フリー素材タウン」(←リンクしてある)より、清流の小滝である。

2013年8月20日 (火)

プーシキン「サルタン王ものがたり」

Cimg7162 蔵書より、プーシキン「サルタン王ものがたり」を読みおえる。

 角川文庫、1969年・刊、稲田定雄・訳。

 翻訳が行分け、連分けされているので、ことわってはいないが、詩篇であろう(解説には、翻訳を「原作通り詩の形で…」云々)。原文は、韻を踏んでいるだろう。

 内容はメルヘン風な物語で、強いて読めば権力者や、奸臣や、庶民の強欲への批判が、読み取れないこともない。

 ただメルヘンとして、楽しく読みたい。全6編。

 未完の「雌熊ものがたり」は、ハイネの長編詩「アッタ・トロル」(1843年・発表)に通じる所があり、プーシキン(1837年・没)の遺志を継いだのか、共通の原話(民話)があるのか。

3冊を購入

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 最近、2冊の本と1冊の雑誌を買った。

①河野裕子・永田和宏「たとへば君 四十年の恋歌」文芸春秋社、2011年2刷。Amazonのマーケットプレイス「未来文庫」より。話題の本である。

 ②馬場あき子「女歌の系譜」。朝日選書、1997年・刊。Amazonのマーケットプレイス「ハッピーランド」より。現代女性歌人論と思っていたが、王朝女性歌人論だった。

 ③「日経PCビギナーズ」9月号。書店「KaBoS ワッセ店」より。Wi-Fiという言葉を、あちこちで目にするので。本誌は、10月号で休刊となる。

2013年8月19日 (月)

鈴江幸太郎「花筵」

 初音書房「鈴江幸太郎全歌集」(1981年・刊)より、12番めの歌集、「花筵(はなむしろ)」を読みおえる。

 原著は、1975年、初音書房・刊。515首、後記を収める。

 75歳の高齢ながら、後記では「そしてなほこれからが大切な時だと思つてゐる」と元気である。

 鈴江幸太郎(すずえ・こうたろう、1900~1981)は、徳島県生まれ。1921年(大正10年)「アララギ」入会。中村憲吉に師事。

 1953年、歌誌「林泉」創刊・主宰のあとも、「アララギ」の歌会に参加し、出詠もしていたようだ。

 この歌集でも、旅行詠が多い中で、生活詠も混じる。

 以下に6首を引く。僕の好みで、生活詠が多い。


妻子措きてある日寂しみこの島に渡りし若きこころ忘れつ

古き代に吉津(よしづ)と呼びて住みつきぬ草に返りゆく峠ひと谷

あるかなきかにそがひに眠りゐる妻を月の光は照らし出しぬ

次ぎつぎて老をさいなむ事や者愛(かな)しきものはましてさいなむ

夜明くれば行きて働くあはれさも五十幾年になりやしぬらむ

光秀の夜半をひそかに落ちゆきし跡ちかく住むとおもふ折ふし

Phm02_0136
ダウンロード・フォト集より、ひまわり畑の1枚。いかにも暑そうだ。

この夏の暑さも、ピークを越えたか。

2013年8月18日 (日)

「踊る大捜査線 #3」

 今日の午後、GyaO!の「フジテレビ オンデマンド」より、「踊る大捜査線 #3 消された調書と彼女の事件」を観た。

 先の7月27日の記事(←リンクしてある)で紹介した、同「# 2 愛と復讐の宅配便」に継ぐ鑑賞である。

 本編は、47分弱、8日間視聴可、315円。

 建設省幹部の息子が起こした、ひったくり・致傷事件を、警察の上層部が揉み消そうとするのを、すみれ刑事が断固として事件化しようとするが、室井監理官が登場して仲裁に入り、挫折するというストーリーである。それに様々なエピソードがからまる。

 すみれ刑事の「火曜日には独りになりたくない」という謎も明かされる。発声できなかった雪乃も、青島刑事の誠実さに、声を取り戻す。

 劇場版ほどのインパクトはないが、僕はこれからも観てゆくだろう。

Photo
写真素材集サイト「足成」より、百日紅の1枚。

近所の家の庭にも咲いているが、わが庭の木には花がない(世話をしないから)。

2013年8月17日 (土)

記事更新、2000回め

 今日のこの記事で、ブログ開設より、2000回目の更新となる。

 1800回めの更新が、今年1月26日の記事(←リンクしてある)だったから、ほぼ200日で200回の記事更新である。途中、記事を書かなかった日、1日に複数回書いた日が混じる。

 以下に摘要を記す。

  • 2007年4月4日、ブログ「サスケの本棚」を開設
  • コメント、622件
  • トラックバック、5件
  • アップした写真、2240枚
  • リンク集内、8件
  • 2008年10月初め頃、3カウンター(アクセス・カウンター)設置
  • アクセス解析ツール、導入
  • 「人気ブログランキング」(本・書籍 カテゴリ)、「日本ブログ村」(読書日記 カテゴリ)に参加
  • サイドバーに「更新ブログ」(ミテログの最新記事更新ブログ、10件を表示)を設置
  • サイドバーに「日本ブログ村」(同・村の色々を見られるパーツ)を設置

 なお僕は、アメブロ「新サスケと短歌と詩」(おもに詩歌を載せている)も運営中。このブログのリンク集内にある。

 これからも宜しくお願いします。

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2013年8月16日 (金)

西東三鬼「夜の桃」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第7巻(1981年・刊)より、4番めの句集、西東三鬼「夜の桃」を読みおえる。

 今月10日の記事(←リンクしてある。クリックすればジャンプする)で紹介した、橋本鷄二「年輪」に継ぐ句集である。

 原著は、1948年、七洋社・刊。

 自序、敗戦前の50句、戦後の250句を収める。

 西東三鬼(さいとう・さんき、1900~1962)は、戦前の京大俳句事件で検挙された。戦後は現代俳句で活躍した。

 僕はこの全集では、初めて戦後俳句を読んだ気がする。この巻の加藤楸邨「火の記憶」は空襲を吟じ、彼の「野哭」はまだまみえていない。

 西東三鬼「夜の桃」は、芸術的前衛性と実存的感覚でもって、敗戦後の社会を捉え得たと、僕は思う。現実は知らないのだけれども、同時期の戦後詩に若く感動した作品と、共振を感じるからである。

 以下に5句を引く。

水枕ガバリと寒い海がある

寒燈の一つ一つよ国敗れ

中年や遠くみのれる夜の桃

秋耕のおのれの影を掘起す

めつむりし孤児に烈風砂を打つ

Photo
写真素材集サイト「足成」より、水蓮の花。

花ハス公園に、ここ何年か、行っていない…。

2013年8月15日 (木)

「コスモス」8月号の「その二集」末まで

 結社誌「コスモス」2013年8月号の、「その二集」末まで読みおえる。通常の出詠歌より採られた作品の、すべてである。

 ただし、「宇宙の花」2ページ、「気になるホン、ほん、本」1ページなど、全部は読みおえてないセクションもある。

 先の今月12日の記事で、「あすなろ集」に読み入っていると書いた、続きの報せである。

 なお「コスモス」の昇級は、「その二集」(入会者はこの欄から)→「あすなろ集」→「その一集」→「月集シリウス」→「月集スバル」(選者、選者経験者の欄)と進む。

 僕は「その一集」在籍である。

 今日、早々と同誌の9月号が届き、さっそく読み入っている。

Photo写真素材集サイト「足成」より、朝顔の1枚。

季節は合っているだろうか。

2013年8月14日 (水)

鈴江幸太郎「月輪」

 初音書房「鈴江幸太郎全歌集」(1981年・刊)より、11番めの歌集、「月輪」を読みおえる。

 今月9日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「夜の岬」に継ぐものである。

 原著は、初音書房、1972年・刊。

 歌人・70歳~73歳の、538首を収める。

 日常をあまり詠まず、旅の連作などに豊かな作品が多い(解説では「円熟」と書いてある)。

 「アララギ」の流れだから、「写生」の自然詠・叙景歌が多いのも、肯われる。

 以下に7首を引く。


瓶さまざまビニールの類の押し騰
(あが)りし濱といへども春の草萌ゆ

一時閒走らば至る家の墓おもふのみにてこの度も見ず

ふる雨にうごく草踏みみゑさんのみ墓に立てり縁(えにし)おもひて

こころ伸ぶるけふの宿りを夕ぐるる波止(はと)は船より魚揚げてをり

爪叩(つまだた)くわが耳にのみ鳴りゆらぎやさしかそけし遠き世の鐘

甲板に柱をめぐり相追ひてゑらげる聲は幼な孫三人(たり)

それぞれに高層に慣れて子ら住めば我さへ移るマンション五階

Phm10_0598
ダウンロード・フォト集より、清流の1枚。

涼を感じてもらえたら。

2013年8月12日 (月)

「コスモス」8月号の「その一集」より更に

 先の7月25日の記事で、「コスモス」8月号の初めより「その一集」特選欄までと、「COSMOS集」、「新・扇状地」などを読んだと書いた。

 今日は更に進み、「その一集」の末を過ぎ、「あすなろ集」の長崎県欄を読んでいる。次号が来るまでに、「あすなろ集」を読みおえ、更に進むだろう。

 ただし、各号のすべてを読んだというエピソードのある、故・安立スハル氏には及ばない。

 出詠者は作品を読んでほしいだろうし、「コスモス」を読んでいると短歌が(すぐにではなくとも)生まれるように思う。

Phm10_0583
ダウンロード・フォト集より、清流の1枚。

外は酷暑であるが…。

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