三好みどり「蒼水の午後」
2006年、砂子屋書房・刊。
2001年に砂子屋書房・刊の歌集、「律速」に続く、第2歌集である。
200首、岡井隆の跋「三好みどりさんに -解説にかへて」、後記「歌はこころの癒し」を収める。
彼女は大学薬学部を卒業し、製薬会社の研究員、高校などの化学講師を経ており、その方面をおもに、僕の知らないカタカナ語が多かった。
多くは電子辞書の「カタカナ語辞典」を引けばわかるが、どこかで読んだような「オピウム」がわからない。opiumだろうと見当をつけて、英和辞典で調べると、阿片の事だった。
1ページ2首、数ヶ所にモノクロ写真を挿み、効果を上げている。
以下に日常を詠んだ歌をおもに、7首を引く。
いま家族壊れつつある昼さがりファミレスに聴く淡き幻想曲
あかねさす紫オパールひかりおり大腸ガンの染色組織
淡緑のレタスの繭のなかに抱くくらき想いにひっそり浸る
夏萩のさやぐ音する初夏に呼び覚まされるわれの半音
気遣いていし子にいつか気遣われ山手線に子と別れけり
お客様お好みのものは何ですか口紅のごと売るかぜ薬
雪ふる夜、午前零時のコンビニに夕食購いつつ家族するひと
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