佐野まもる「海郷」
角川書店「増補 現代俳句大系」(全15巻)の第7巻(1981年・刊)より、5番めの句集、佐野まもる第2句集「海郷」を読み終える。
同巻では先の8月16日の記事(←リンクしてある)で紹介した、西東三鬼「夜の桃」に継ぐ句集である。
原著は、1948年、青潮社・刊。
水原秋櫻子・序、334句、後記を収める。
佐野まもる(1899~1984)は、1946年早春~1947年歳晩(45歳、46歳)、瀬戸内の伯方島に官勤めをし、解説で「この孤島で戦災のために傷ついた心身をしずかに養い、かつ詩心を培うことのできたのは、実によい運のめぐり合わせであった…」と記される。
西東三鬼「夜の桃」とは対照的な句風だが、佐野まもるも郷里・徳島市へ帰ったのちは、句風が転回した。
以下に5句を引く。
春愁の喫水ふかく船ゆけり
章魚干せば天の青さの炎ゆるなる
丘越えて蜑がかつぎて来る神輿
ことごとく海の句を書き星まつり
牡蠣の岩踏みつたひ来て隣り字(あざ)
写真素材集サイト「フリー素材タウン」(←リンクしてある)より、清流の小滝である。
コメント