ネクラーソフ「デカブリストの妻」
ネクラーソフの物語詩「デカブリストの妻」を読みおえる。
岩波文庫、2006年・4刷。僕はこのリクエスト復刊の時、新本を買った筈だから、7年を経てから読んだ事になる。
1825年12月14日、ロシアの帝政に反対する将校らが、デカブリストの乱を起こしたが、鎮圧された。
死刑5人、徒刑86人、流刑18人、他の罰が下った。この徒刑・流刑でシベリヤへ流された指導者層(名門の青年が多かった)の、9人の妻が夫を追ってシベリヤへ行った。
貴族の富と名誉を捨て、家族・友人を捨て、夫への情愛と誇りを選んだ女性の、高潔さには心打たれる。
内容は「公爵夫人 トゥルベツカーヤ」と「公爵夫人 ヴォルコーンスカヤ」に別れる。
前者は主人公と、シベリア行きを押しとどめようとするまわりの者の、科白がほとんどを占め、劇詩と呼び得る。
後者は、年老いて帰還した夫人が孫たちに、成長してから読むようにと書いた、手記の形を取っている。
世界的名作を、年老いて読むのも、良い事だ。
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