日野草城「青芝」
沖積舎「日野草城全句集」(1996年・刊)より、2番めの句集「青芝」を読みおえる。
なおこの全句集は、草城の娘婿・室生幸太郎が、草城のすべての句集が絶版となっている事などを憂えて、編集した本である。娘婿が義父を顕彰する事はある事で、石川啄木の長女・石川京子の夫・石川正雄の著名な例もある。
「青芝」は、1932年、京鹿子発行所・刊。
自序、561句(全句集では改訂句を付して)、自跋を収める。第1句集「草城句集」に比して、地味な出帆である。
以下に5句を引く。
春の夜や影はべらしてひとりもの
孜々として地球に鍬を加へゐる
筆硯に及べる喜雨のしぶきかな
たづさふる手のあたゝかき無月かな
ひとりゆく山科の道しぐれけり
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