日野草城「第五句集(資料)」
沖積舎「日野草城全句集」(1996年・刊)より、5番めの句集、「第五句集(資料)」を読みおえる。617句。
今月8日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「転轍手」に続く句集である。
ただしこの時期の句集は未刊であったので、全句集の編者・室生幸太郎(草城の娘婿)が、当時の句文集、俳誌などより、丹念に集めて編集した句集である。
三省堂「現代俳句大事典」(2005年・刊)の「京大俳句事件(1940年)」の項目では、「旗艦」(日野草城主宰)は転向を表明して弾圧を免れた、とある。
日野草城が戦争吟を煽ったようにも読めるが、全句集の年譜に拠ると、1940年より次第に俳壇より遠ざかり、敗戦まで沈黙した。
以下に5句を引く。
うつばりも柱も呻き真夜の地震(なゐ)
支店長東西南北より来る
月を視しひとのまなざしわれに来ぬ
大原やしづかに曇る花とわれ
七月の浪を見てゐし眼を閉づる
ダウンロード・フォト集より、野の花の1枚。
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