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2014年1月の27件の記事

2014年1月20日 (月)

広部英一「鷺」

 思潮社「広部英一全詩集」(2013年・刊)より、第2詩集「鷺」を読みおえる。

 今月8日の記事(←リンクしてある)で紹介した、第1詩集「木の舟」に続く詩集である。

 原著は、1963年、北荘文庫・刊。森山啓・序文、20編、あとがきを収める。

 あとがきにもあるように、1963年初めの大雪(地元では38豪雪と呼びならわしている)の時、連日の除雪作業の際、亡くなった母親が娘となって心象にたちあらわれ、詩編を成した作品群である。

 働き者で、可憐、茶目けもある農村の娘として、母親の娘時代が想い描かれている。

 詩集の表題作でもある「鷺」は、お見合いのあと断られた娘の悲しみを描いて、哀憐を誘う。

Photo無料写真素材集サイト「足成」より、スケートリンクの1枚。

2014年1月19日 (日)

三木佳子「風にあずけて」

Cimg7499 「未来」所属の歌人・三木佳子(みき・よしこ)さんの第1歌集、「風にあずけて」を読みおえる。

 2008年、短歌研究社・刊。米田律子・跋。

 知覚過敏の痛みに耐えながら暮らして、妹の死去、同居する母の脳梗塞による不自由などに遭う。

 歌集の「あとがき」ではその母も亡くなったと書き、すでに父はいない。

 彼女は独身らしく、短歌を詠む・読む事が、そういう生活を越えてゆく、大きな力となるのだろう。

 以下に6首を引く。

鳩の群れ秋陽の屋根にまどろむを見つつ電車は地下に入りゆく

熊蟬は朝を待たずに啼きはじめ知覚過敏の吾をいたぶる

かんな月神のいぬ間をもう少し寄り道したい川の向こうへ

車椅子に母のかかぐるVサインふぶく桜と共に撮らるる

十五夜の月はまどかに中庭を跳ぬる仔猫ら声立てぬなり

肌色のヒガンバナ咲きこの世から消えてしまった妹を呼ぶ

2014年1月18日 (土)

歌誌とマニュアル

Cimg7494

Cimg7498 昨日(1月17日)に、結社誌「コスモス」2014年2月号が届いた。

 僕の短歌は、10首出詠のうち、4首選だった。内容は、僕のもう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」(このブログのリンク集にあり)の明日の記事に載せる。

 今日の午後、書店「Super KaBoS ワッセ店」へ行き、総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2月号を買った。特集は「スイーツの歌」である。僕は甘党だけれど、店へ出掛ける程ではない。

 同時に、ツイッターのマニュアル書を買った。

 僕は囲碁も園芸もパソコンも、マニュアル書を参考にして来た。

 文学は、解説書・指導書はあまり読まなくて、作品より学んで来た。

2014年1月17日 (金)

「あすなろ集」まで

 結社歌誌「コスモス」2014年1月号の「あすなろ集」を読みおえる。

 これで上位クラスの初めより読み進んで、「その二集」を残すのみだ。ただし今日(1月17日)、次の2月号が届いたので、そちらをこれから読むことになる。

 「あすなろ集」では、言葉がこなれていない場合がある。

 舌頭に転ぜよとは言わないが、「コスモス」以外を含めて、歌集などを読むべきだ。努力すれば成果は挙がる。

Photo無料写真素材集サイト「足成」より、「テトラオドン・ムブ」の1枚。ほんとは「フグ」(冬の季語)で検索したんだけどね。

2014年1月16日 (木)

藤田冴「朝のパトス」

Cimg7489 藤田冴・第2歌集「朝のパトス」を読みおえる。

 2005年、砂子屋書房・刊。岡井隆の跋文、「あとがき」を収める。

 彼女には第1歌集「いんなあ・とりつぷ」(1995年、砂子屋書房・刊)、第3歌集「櫂をください」(2012年、短歌研究社・刊)があるが、僕は内容を知らない。

 この歌集では、人生の感慨をレトリック豊かに、かつ素直に詠まれた作品が多い。

 レトリックの生れた喜びを詠う歌など、ほほえましいくらいだ。

 以下に首を引く。

早春の土の香匂ふ野に出でて妥協のための種子を蒔くべし

虚空よりメールが届く……少しだけ不自由の苗も育ててゐます

アレンジはしとと優美で切り口ははつかに苦きレジュメが届く

急行が通過するとき顕ちきたるレトリックひとつさやさやと鳴る

口笛を吹けないあなたさみどりのいたや楓が呼んでゐるのに

微風すらしづめて夜半を唄ひゐる天動説を知らぬフルート

ペナルティをとられしことも夕暮れて鰤大根を煮炊き始めつ

2014年1月15日 (水)

秋元不死男「瘤」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第8巻(1981年・刊)より、2番めの句集、秋元不死男「瘤」を読みおえる。

 今月5日の記事(←リンクしてある)で紹介した、石田波郷「惜命」に継ぐ句集である。

 原著は、1950年、作品社・刊。365句、後書を収める。

 秋元不死男(1901年~1977年)は、新興俳句運動に活躍するが、1941年、俳句弾圧事件に遭い、2年の獄中生活を送り、敗戦まで作品発表しなかった。

 「瘤」は「獄」吟とその他の作品に分かたれる。「獄」吟も、多く回想吟であるが、獄中吟がある。後書で彼は、「たとへ瘤であったにせよ、その瘤の痛さと、瘤をこしらへた相手の手は、終生忘れることはできない。」と書きつけている。

 以下に5句を引く。

降る雪に胸飾られて捕へらる

友らいづこ獄窓ひとつづつ寒し

冬に負けじ割りてはくらふ獄の飯

獄門を出て北風に背を押さる

蟹かくる航空兵の墓裏へ

A無料写真素材集サイト「足成」より、福寿草の1枚。

2014年1月13日 (月)

「群青の会」会合

Imgp0416 僕がこぐま星座さんに依頼して、AUさんと日時を調整してもらって、詩誌「群青」同人の3人が集まった。

 今日午前9時より、喫茶店「ユトリ珈琲」にて。写真は入り口扉と近辺である。雪が降っていた。

 昨年11月頃に、「群青」28号の反響を語り合うため、集まって以来の会合だろう。

 特別な用事は僕にもなく、相談したい事があった。

 僕の第3詩集「光る波」の改訂再版出版の相談は、諌められた。「広部英一全詩集」の詩集をブログに取り上げる事については、話が進まなかった。

 僕が「群青の会」宛てに受け取った、詩誌・詩集を紹介した。

 思潮社の「現代詩年鑑2014」を材料に、中央や地方の詩と詩人について、語り合った。

 11時近く、話し足りないながら、散会した。

2014年1月12日 (日)

「世界 花の旅 3」

Cimg7486 写真集「世界 花の旅 3」を見おえる。

 朝日新聞社、1991年・刊。帯付き、157ページ+索引。

 今月2日の記事(リンクしてある)「同 2」に続き、この3冊シリーズの終いである。

 日本を含む世界の、25種類の花が、栽培者、保護者、研究者などとともに紹介されている。

 中でもアフリカの砂漠に生長するキソウテンガイ(奇想天外)は、僕は初めて知った。樹齢1500年の株もあるという。

 麻薬に関わる、ケシの栽培、コカの葉の使用についても語られる。

 この巻は写真のスペースが大きい。日曜版の読者から、意見があったのだろうか。

 これからはもう、このような企画はありそうにない。

2014年1月11日 (土)

笠原仙一「明日のまほろば」

Cimg7480 越前市にお住まいの笠原仙一さんが、第5詩集「明日のまほろば ~越前武生からの祈り~」を送ってくださった。

 コール・サック社・刊、ソフトカバー、帯、栞。

 彼は、日本詩人クラブ、詩人会議、福井詩人会議「水脈」、福井県詩人懇話会、各会員。

 佐相憲一氏の栞解説文が、よくこの詩集を捉えている。

 「第一章 まほろばの夢」では、険しい世相の中で、「弥勒菩薩半跏像」のように信仰にも心寄せながら、未来を見つめている。

 「第二章 越前武生にて」では、さびれていく地元ながら、安住の里を描く。

 「第三章 三・一一」では、東日本大震災・福島原発事故への心痛を述べる。自分の立つ立場がはっきりしていないと、書けない事だ。

 「第四章 みらいごと」では、退職近い教職など過去を振り返りもしながら、明るくも思えない未来に立ち向かおうとしている。

2014年1月 9日 (木)

詩誌「角」第31号

Cimg7478 坂井市にお住まいの詩人、N・としこさんが、同人詩誌「角」(つの)第31号を送って下さった。

 「角」は若狭の詩人をおもに始まって、今は県下をおもに16名の同人を擁する。

 巻頭、O・純さんの「痕跡」は、小虫の死になぞらえて、無常感を説くようだ。「突差」ではなく、「咄嗟」が正しいだろう。

 N・としこさんの「落ちていく」では生活の中での孤独感が、「旅立ち」では明日への新しい1歩が、うたわれている。

 K・悦子さんの「紙一重」は、生活の危うい真実を衝いて、鋭い発想である。

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