松村蒼石「寒鶯抄」
角川書店「増補 現代俳句大系」第8巻(1981年・刊)より、4番めの句集、松村蒼石「寒鶯抄」(かんおうしょう)を読みおえる。
今月21日の記事(←リンクしてある)で紹介した、斎藤空華「空華句集」に続く本である。
原著は、1950年、玉虫発行所・刊。
飯田蛇笏・序、300句、あとがきを収める。
松村蒼石(まつむら・そうせき、1887年~1982年)は生後40日に父と死別し貧しく、13歳で丁稚奉公に出たが、向学心を失くさなかった。また関東大震災後に妻と長女を亡くしたが、「再び憑かれたように俳句を始めた」(角川源義・解説より)事により乗り越えた。
このあとに、「露」「春霞」「雪」「雁」の句集がある。
以下に5句を引く。
東風波に忌日の仏間ひらきあり
冬の虫ところさだめて鳴きにけり
水底をあらはに二月晴れにけり
寒の餅切る日あたりの古畳
蛸突きや睦月の潮にひとり楫
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