« 秋元不死男「瘤」 | メイン | 「あすなろ集」まで »

2014年1月16日 (木)

藤田冴「朝のパトス」

Cimg7489 藤田冴・第2歌集「朝のパトス」を読みおえる。

 2005年、砂子屋書房・刊。岡井隆の跋文、「あとがき」を収める。

 彼女には第1歌集「いんなあ・とりつぷ」(1995年、砂子屋書房・刊)、第3歌集「櫂をください」(2012年、短歌研究社・刊)があるが、僕は内容を知らない。

 この歌集では、人生の感慨をレトリック豊かに、かつ素直に詠まれた作品が多い。

 レトリックの生れた喜びを詠う歌など、ほほえましいくらいだ。

 以下に首を引く。

早春の土の香匂ふ野に出でて妥協のための種子を蒔くべし

虚空よりメールが届く……少しだけ不自由の苗も育ててゐます

アレンジはしとと優美で切り口ははつかに苦きレジュメが届く

急行が通過するとき顕ちきたるレトリックひとつさやさやと鳴る

口笛を吹けないあなたさみどりのいたや楓が呼んでゐるのに

微風すらしづめて夜半を唄ひゐる天動説を知らぬフルート

ペナルティをとられしことも夕暮れて鰤大根を煮炊き始めつ

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.mitelog.jp/t/trackback/238785/32049781

藤田冴「朝のパトス」を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

ブログランキング

  • 応援のクリックを、よろしくお願いします。
  • ブログ村も、よろしくお願いします。

最近のトラックバック

ブログパーツ

  • ツイートをフォローしてください。
  • 3カウンター
  • アクセス解析

更新ブログ

Powered by Six Apart
Member since 04/2007

日本ブログ村

  • 日本ブログ村のリストです。

人気ブログランキング

  • 応援の投票を、お願いします。

アンケート