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2014年3月の30件の記事

2014年3月21日 (金)

白秋「畑の祭」

 岩波文庫「北原白秋詩集(下)」(2007年・刊)より、「畑の祭」を読みおえる。

 これは単行の詩集ではなく、1920年版「白秋詩集」(アルス・刊)に、未刊行詩集として収録された。

 この詩集を収めたのは、編者・安藤元雄のこだわりがある。白秋が口語自由詩を拒否して、文語定型詩を貫いた、という定説に対して、口語の語りを採った作品もあるという例として挙げている。

 僕は文語・口語の論に興味はない。ただ、この集の終わりに収められている、歌謡としても名高い「城ケ島の雨」に感嘆するばかりだ。

Photo「フリー素材タウン」より、夕日の1枚。

2014年3月19日 (水)

詩誌「青魚」No.80

Cimg7593 鯖江市にお住まいの詩人、T・晃弘さんより、同人詩誌「青魚(せいぎょ)」No.80が送られてきた。

 昨年11月4日の記事で紹介した、No.79に継ぐ号である。

 僕は、「幾通りにも 2」「難民」「怒る」「鵲」、4編のソネットを載せてもらった。

 もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」に、1週間後くらいから、掲載の予定である。

 T・幸男さんの「任化」より始まる16編は、重厚長大な連作で、気概を示している。

 M・幸雄さんの「北山農業用水溜池の昔と今のものがたり」は、溜池の歴史と現在を、精細に描いた、記録文学だろう。

 来る者は拒まず、去る者は追わず、(と僕は思っている)自由な気風の詩誌である。

2014年3月18日 (火)

詩誌「角」第32号

Cimg7590 坂井市にお住まいの詩人、N・としこさんが、同人詩誌「角(つの)」第32号を送って下さった。

 2014年3月・発行。13編の詩と、2編の散文を収める。

 巻頭のO・純さんの「雪道」は、温暖化以前の昭和で、「雪の一本道を/譲り譲られて歩いた」と締め括って、我先の現在の倫理を問うている。

 N・としこさんの「気配」では、今はやりの終活という言葉は使われないが、「自身がいなくなった世界を/思い描いたり」して、本や物を捨て去ったり整理したりする心境を描く。

 T・常光さんの「時間」が大震災を、Y・清吉さんの「いま」が原発を、追い続けている。

2014年3月17日 (月)

白秋「真珠抄」「白金之独楽」

 岩波文庫「北原白秋詩集(下)」(2007年・刊)より、「真珠抄」「白金之独楽」(共に選集)を読みおえる。

 今月10日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「東京景物詩 及其他」に続く。

 この時期、白秋は生家の破産と家族の扶養、また隣家の人妻との交際による告訴と収監に遭い、精神的にも経済的にも苦しい状態だった。

 「真珠抄」では、中世歌謡にも通じる1行詩を重ねて1編とし、1編1行の作品もある。

 「白金之独楽」は、漢字とカタカナより成り、法悦状態の3昼夜に書き上げられた。

 共にのちに、白秋を国民詩人たらしめる、契機となったとされる。

Photo無料写真素材集サイト「足成」より、白花沈丁花の1枚。

2014年3月16日 (日)

広部英一「畝間」

 思潮社「広部英一全詩集」(2013年10月・刊)より、8番めの詩集、「畝間」を読みおえる。生前最後に上梓した詩集である。6章62編。

 この詩集には、大きな特徴がある。1連5行、2連で1編とし、1編の行の長さはきれいに揃えられている。

 「あとがき」では、「強いていえば推敲の過程で気紛れな遊び心が起きたからかもしれません」と述べている。

 謹厳実直に見えた広部さんが、内に秘めたユーモアかも知れない。

 新しい定型詩の提示かも知れない。

 この世での心のありよう、彼岸此岸の魂の交流を、詩に書き留めてやまなかった。

B無料写真素材集サイト「足成」より、椿の1枚。

2014年3月15日 (土)

「その二集」末まで

 1昨日の3月13日の記事で、結社歌誌「コスモス」2014年3月号を、「あすなろ集」末まで読んだと書いた。

 今日は、機会があったので、それに続く「その二集」を末まで読んだ。この後には無い。

 通常の出詠より採られた歌は、すべて読んだ事になる。

 僕はそんなに暇ではないが、「語り部」に対する「読み部」(よみべ)を自称している、意地のようなものはある。

 ただし1冊の、隅から隅まで読む、という訳には行かない。現に次の、同誌4月号が届いていて、読み始めなければならない。

Photo「フリー素材タウン」より、椿の1枚。

2014年3月14日 (金)

テオクリトス「詩集(抄)」

 平凡社「世界名詩集大成 (1) 古代・中世」(1960年・刊)より、テオクリトス「詩集(抄)」(呉茂一・訳)を読みおえる。

 4編の内、「第一曲 テュルシス」は、山羊飼いに所望された羊飼いテュルシスが、ダフニスの実らない恋を唄い上げ、礼を貰う、というストーリーである。

 「第二曲 禁厭(まじない)をする女」は、薄情な男を取り戻そうと、女が様々呪いをする話である。

 「第十三曲 ヒュラース」では、ヘラクレスに大事にされた少年ヒュラースが、泉のニンフらに取り込められる。

 「第十八曲 ヘレネーの婚礼」は、省略か欠落か、1部分しか載っていないので、ストーリーが今ひとつ判らない。

 ギリシア神話と世俗が、並列する世界である。

Photo無料写真素材集サイト「足成」より、湖の1枚。

2014年3月13日 (木)

「あすなろ集」末まで

 先の2月24日の記事「『コスモス』3月号」で、「コスモス」2014年3月号の、初めより「その一集」特選欄まで、他を読んだ事を報せた。

 今回は続いて、「その一集」(既に読んだ特選欄を除く)を読みおえ、さらに「あすなろ集」(これも特選欄を除く)を読みおえた。あとは「その二集」、特集などを残すのみだ。

 それぞれの歌が、僕の作歌を、生を、励ましてくれる。競い合いつつ、助け合っているようだ。僕も詠い続けようと思う。

Photo「フリー素材タウン」より、白梅の1枚。

2014年3月12日 (水)

カリマコス「讃歌」

 平凡社「世界名詩集大成 (1) 古代・中世」より、カリマコス「讃歌」第3編、第5編(松平千秋・訳)を読みおえる。

 この本は、10数年前、読みかけのまま本の山に紛れ込み、最近の整理の中で見つけ出したものである。

 古代ギリシア・ローマ、中世の詩篇を収める。

 この本では、カリマコス「讃歌」は、上記の2編しか載せていない。

 第3編では、女神アルテミス(ゼウスとレトとの子、アポロンの双生の妹)が讃えられる。第5編では、女神パラス(アテナ)の水浴の1場面が描かれる。

 2編で85項目の訳注が付き、8ページ(3段)だけれども、根気が要る。

 古代ギリシア・ローマの詩の翻訳を読める事は、大きな喜びである。

Photo「フリー素材タウン」より、水仙の1枚。

2014年3月11日 (火)

水原秋桜子「霜林」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第8巻(1981年・刊)より、9番めの句集、水原秋桜子「霜林」を読みおえる。

 原著は、1950年、目黒書店・刊。563句。

 水原秋桜子(みずはら・しゅうおうし、1892年~1981年)は当時、戦後の混乱、戦争責任の追及などの中で、「馬酔木」主宰等の大家の風格を保たねばならず、苦しい活動であったと思われる。

 以下に5句を引く。

時鳥野に甘藍の渦みだれ

菊黄なり冬菜のはしにつくりしが

はげみては瞼疲れぬ夜の梅

音たてゝ泉湧くなり枯山に

魚板吊り僧房柿の若葉せり


Photo「フリー素材タウン」より、白梅の1枚。

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