岩波文庫「北原白秋詩集(下)」(2007年・刊)より、「真珠抄」「白金之独楽」(共に選集)を読みおえる。
今月10日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「東京景物詩 及其他」に続く。
この時期、白秋は生家の破産と家族の扶養、また隣家の人妻との交際による告訴と収監に遭い、精神的にも経済的にも苦しい状態だった。
「真珠抄」では、中世歌謡にも通じる1行詩を重ねて1編とし、1編1行の作品もある。
「白金之独楽」は、漢字とカタカナより成り、法悦状態の3昼夜に書き上げられた。
共にのちに、白秋を国民詩人たらしめる、契機となったとされる。
平凡社「世界名詩集大成 (1) 古代・中世」(1960年・刊)より、テオクリトス「詩集(抄)」(呉茂一・訳)を読みおえる。
4編の内、「第一曲 テュルシス」は、山羊飼いに所望された羊飼いテュルシスが、ダフニスの実らない恋を唄い上げ、礼を貰う、というストーリーである。
「第二曲 禁厭(まじない)をする女」は、薄情な男を取り戻そうと、女が様々呪いをする話である。
「第十三曲 ヒュラース」では、ヘラクレスに大事にされた少年ヒュラースが、泉のニンフらに取り込められる。
「第十八曲 ヘレネーの婚礼」は、省略か欠落か、1部分しか載っていないので、ストーリーが今ひとつ判らない。
ギリシア神話と世俗が、並列する世界である。
平凡社「世界名詩集大成 (1) 古代・中世」より、カリマコス「讃歌」第3編、第5編(松平千秋・訳)を読みおえる。
この本は、10数年前、読みかけのまま本の山に紛れ込み、最近の整理の中で見つけ出したものである。
古代ギリシア・ローマ、中世の詩篇を収める。
この本では、カリマコス「讃歌」は、上記の2編しか載せていない。
第3編では、女神アルテミス(ゼウスとレトとの子、アポロンの双生の妹)が讃えられる。第5編では、女神パラス(アテナ)の水浴の1場面が描かれる。
2編で85項目の訳注が付き、8ページ(3段)だけれども、根気が要る。
古代ギリシア・ローマの詩の翻訳を読める事は、大きな喜びである。
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