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2015年11月の30件の記事

2015年11月30日 (月)

若山牧水「砂丘」

 Kindle本「若山牧水大全」より、第8歌集「砂丘」を、タブレットで読みおえる。

 今月21日の記事(←リンクしてある)、「秋風の歌」に継ぐ。

 原著は、1915年(大正4年)、博信堂書房・刊。248首。

 経済的にはともかく、精神的には(短歌上では)落ち着いた時期であったらしい。自序の末で牧水は「このままで今少し澄み入った作歌の三昧境に進みたいものである。」と述べている。

 以下に7首を引く。

蜩なき杜鵑なき夕山の木がくれ行けばそよぐ葉もなし

尾長鳥その尾はながく羽根ちさく真白く昼をとべるなりけり

いしたたきちさきめうとの頬を寄せて啼くよ浅瀬の白石のうへに

飽かずしも酌めるものかなみじか夜を眠ることすらなほ惜みつつ

植物園のかれくさ原に居る鶫をりをり動き遠くとばなく

秋の夜のほのつめたさにいざなはれ友恋しさは火のごとく燃ゆ

ひそひそと山に分け入りおのづから高きに出でぬ悲しや春日

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、オレンジの1枚。

2015年11月29日 (日)

椿2種とコニファー

Photo

Photo_2 

 庭で椿が咲いた。

 左は、一重白花。品種不明。

 右は「太神楽(だいかぐら)」。紅地に白斑、牡丹~獅子咲き。

 共に、晴天が数日続いたあとの開花で、花びらに傷みがなく、花粉の汚れもない。

Photo_3

 先日のホームセンターで、小鉢のコニファーを1つ買った。

 クリスマス用というより、年始の飾りのつもりで、玄関脇に置く予定。

 葉牡丹の寄せ植えがなく、自分で寄せ植えするのも面倒になった。それに少し飽きがきていた。

 コニファーは、来春以降も楽しめそうだ。

2015年11月28日 (土)

「月集」読了

 結社歌誌「コスモス」2015年12月号より、僕が旧い名の「月集」と呼んでいる、「月集特別作品」、「月集スバル」、「月集シリウス」を読みおえる。

 「月集特別作品」は、「月集スバル」、「月集シリウス」よりの、特選欄(12名)である。

 「月集」の作品には、風格がある。努力を続けての実力だろう。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。「月集スバル」のT・愛子さんの5首より。

待つてゐる時がいいねと母は言ふ暮れはじめたる庭をながめて

 名月の出を待っているのだろうか。母の言葉を捉えて、親密な場面を描いた。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、オレンジの1枚。

2015年11月27日 (金)

田宮朋子「一滴の海」

Cimg8619 田宮朋子さんの第4歌集、「一滴の海」を読みおえる。

 本阿弥書店からの購入については、ここの今月22日の記事(←リンクしてある)、「歌集2冊」にアップした。

 2015年9月・刊。523首。

 田宮朋子さん(第48回角川短歌賞受賞、「コスモス」選者、他)は、宗教との関わり、短歌に打ち込んだ所から、心が強い。

 そして海辺で育ったおおらかさもある。

 彼女の優しさは、悲しみ事を経て、そういう所から現れるのだろう。

 トリビアルな事から、3・11震災、母の死まで、レトリック豊かに詠んでいる。僕はかつての詩作の反動でか、詩歌のレトリックには否定的だったが、最近は認めるようになった。

 以下に7首を引く。付箋はもっと一杯貼ったのだけれども。

冷えまさる河のぼりゆく鮭たちを駆りたててゐるエロス、タナトス

夢のなか呼んでゐるのは弟の声変りする前のこゑかも

ぐんわりと時が曲がるといふことあり二〇一一・三・一一

天空をゆく飛行機と葉にとまる蜻蛉いづれが精密ならむ

かんなづき五人姉妹の五女の母ひとり遺りて姉たちを恋ふ

亡き母に供へし桜の花つぼみ葬儀の朝に開ききりたり

坐りても立ちても眼つむりても胸の高さに海はひろがる

2015年11月26日 (木)

角川「短歌」12月号・Kindle版

Photo Amazonより、角川「短歌」2015年12月号・Kindle版を、発売日の昨日(11月25日)に購入して、パソコンにダウンロードし、タブレットに同期した。

 同・11月号の購入・ダウンロードは、先の10月30日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 特集の「平和のうた」では、表紙には書いてないが、「レポート・緊急シンポジウム 現代の危機に抵抗する短歌」がある。

 先の角川短歌賞受賞・第1作として、鈴木加成太さんの「夢の花火」30首も期待される。

 「特別付録・全国短歌結社マップ」は、紙本のみの付録らしい。書籍の電子化という、世の流れに逆らっているようだ。

2015年11月25日 (水)

近藤芳美「磔刑」

 岩波書店「近藤芳美集」第4巻(2000年・刊)より2番めの、第15歌集「磔刑」を読みおえる。

 今月6日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「祈念に」に継ぐ。

 原著は、1988年、短歌新聞社・刊。268首。

 道浦母都子の解説に、「音楽性やリリシズムの喪失を越えて語らねばならぬ、ある切迫感と緊張感」とある。彼女が学んだとする「詩」と「詩人」の考えは、僕と異なるけれども。

 以下に7首を引く。

書きつがねばならぬひとつをようやくに思わむ齢生きて友らなく

待つ父母ありにしこともまた遠く青松虫の月に鳴きしきる

天安門広場の霧にまぎれ帰る遥かあり大き国のさなかに

詩人ゆえに心許され語り合う一夜遠く来し西安といえ

またひとりと逢うこともなき通院の日は似つつ過ぎ凍る夕月

鬼剣舞のひとりは白き鬼の面怨嗟の舞のやむこともなく

病むひとりをめぐる会あり戻る夜をアルストロメリア妻は雨に抱く

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、オレンジの1枚。

2015年11月24日 (火)

清崎敏郎「安房上総」

 角川書店「現代俳句大系」第10巻(1972年・刊)より、5番めの句集、「安房上総」を読みおえる。

 今月11日の記事(←リンクしてある)、大場白水郎「散木集」に継ぐ。

 原著は、1954年、若葉社・刊。

 「安房上総(あわかずさ)」には、清崎敏郎(きよさき・としろう、1922年~1999年)の、1940年~1953年の333句を収める。

 師・富安風生(この大系の監修者の1人)の長々しい序文が、虚子を真似たか、嫌味である。

 敗戦を挟んだ句を、同列に収めた事にも、疑問がある。

 以下に5句を引く。

桑は実に小学校は農休み

百姓の閾居の高く鳳仙花

くらがりに鮑を生けて祭宿

網干せば夏草の色濃くなんぬ

ドアしめてよりのひとりの春灯

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、蜜柑の1枚。

2015年11月23日 (月)

記事更新、2800回め

 今回で、このブログの記事更新が、2800回めとなる。

 2500回めの更新が、今年1月15日の記事(←リンクしてある)である。10ヶ月少しで300回の更新で、ほぼ日刊となる。

 以下に要件を記す。

・2007年4月4日、ブログ「サスケの本棚」を開設。

・コメント、625件(1度、誤って約70件のコメントを削除しました。申し訳ありません。)

・トラックバック、4件。

・アップした写真、3303枚。

・リンク集内、9件。

・2008年10月初め頃、3カウンター(アクセス・カウンター)設置。

・「人気ブログランキング」(本・書籍 カテゴリ)に参加。

・「日本ブログ村」(読書日記 カテゴリ)に参加。

・無料アクセス解析ツール、導入。

・アンケート1件、設置。

・使用中のディスク容量、787MB。

これからも宜しくお願い致します。

Photo「フリー素材タウン」より、原種シクラメンの1枚。

2015年11月22日 (日)

歌集2冊

Cimg8619

Cimg8616

 この今月19日の記事(←リンクしてある)、「歌誌『コスモス』12月号」で「読んでみたい歌集が少しある」と書いた、その2冊の歌集が届いた。田宮朋子さんの「一滴の海」と、藤岡成子さんの「雨はときどきやさしくあらず」である。

 Amazonには共に、古本しかなかった。共に本阿弥書店の出版だったので、本阿弥書店のホームページを見た。メールで注文して、銀行振込みで前払いするのは、面倒そうだった。電話でも注文を受けていたので、電話で2冊を注文し、2日後に家に届いた。

 同人歌誌「棧橋」の寺泊・1泊批評会(僕は初めての参加だった)で、世話役の田宮さんから受けたご親切は、その後のご親切と共に忘れ難い。

 藤岡さんは、共に公職者が身近にいた者として、共感する所がある。彼女はその人が亡くなったのちも、矜恃を持している。

2015年11月21日 (土)

若山牧水「秋風の歌」

 Kindle本「若山牧水大全」より、第7歌集「秋風の歌」を、タブレットで読みおえる。

 今月13日の記事(←リンクしてある)、「みなかみ」に継ぐ。

 原著は、1914年(大正3年)、新声社・刊。377首。

 短歌新聞社・版「若山牧水全歌集」を、参考しているけれど、A5判1ページに20首詰め込んであるので読みにくい。10インチタブレットでは、横長1面に7首~9首と、読みやすい。画面を拡大するのではなく、字の大きさを調整できるので、僕は字をやや大きくして読んでいる。

 自序で牧水は、「単に生命の表現または陰影であるといふより、われとわが生命を批評して居る如き傾向を生じてきたと思ふ。」と述べている。

 以下に7首を引く。

或時は寝入らむとする乳吞児の眼ひき鼻ひきたはむれあそぶ

七月のあさくさの昼いとまばらにひとが歩めりわれがあゆめり

音に澄みて時計の針のうごくなり窓をつつめる秋のみどり葉

くだものの皮を離れぬ秋の蜂ちさきをみつつ涙ぐみける

くつきりと秋のダリアの咲きたるに倦める心は怯えむとする

青き幹かの枝を切れかの葉を裂け真はだかにして冬に入らしめ

われと身を噛むが如くにひしひしと春のさびしき土ふみ歩む

Photo_2フリー素材サイト「Pixabay」より、林檎の1枚。

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