「佐佐木幸綱の世界9」
1999年、河出書房新社・刊。
帯なし、カバー、307ページ。
この本には、2冊の歌集「旅人」「アニマ」と、書下ろしエッセイ、座談会記録、解説などが載っている。
「旅人」は、著者が1992年から1993年にかけて1年間、大学在外研究員として、オランダで生活した、その間の作品をまとめた、第8歌集である。
そのオランダ生活で何を掴んだのか、著者はアニミズムを主張するようになり、その豊かな成果が歌集「アニマ」にはある。
2歌集より、以下に4首のみ引く。
腰掛ける男の彫像少年を膝に乗せ居て立つことはなし
地獄門という門ありき炎天下門前に白きベンツ駐めたり
樹にされし男も芽ぶきびっしりと蝶の詰まれる鞄を開く
牧水の墓のほとりのはぐれ雲昭和三年は遠いなあ雲よ
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