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2016年3月の32件の記事

2016年3月31日 (木)

「梅崎春生全集」第1巻(4)

 沖積舎「梅崎春生全集」第1巻(1984年・刊)より、4回めの紹介をする。

 3回めの紹介は、先の2月16日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回に読みおえたのは、「故郷の客」、「無名颱風」、「小さな町にて」の、3作品である。

 「故郷の客」と「小さな町にて」は、戦後、従軍中の仲間を訪ねる話である。語りかける文体に、親しみを覚えそうになるけれども、従軍小説の衝迫力はすでにない。敗戦後の元軍人同士の心理的絡み合いに、僕は慣れない。

 「無名颱風」は、敗戦による兵団解散の後、多くの者と帰郷途中、強い台風に遭って難儀する話である。命に関わりそうな避難の場面があって、惹き付ける力がまだある。

 この第1巻には、12編の小説(多くは短編)が残っている。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、花水木の1枚。

2016年3月30日 (水)

「シュメール神話集成」(5)

 ちくま学芸文庫「シュメール神話集成」より、5回めの紹介をする。

 今月24日の記事(←リンクしてある)では、同(4)「イナンナの冥界下り」を紹介した。

 今回は、「ギルガメシュとアッガ」、「ドゥムジとエンキムドゥ」を読みおえた。

 「ギルガメシュとアッガ」では、ギルガメシュの都市「ウルク」がアッガ軍に攻められるが、ギルガメシュが城壁より顔を出しただけで、アッガ軍は圧倒されてしまう。

 また「ドゥムジとエンキムドゥ」では、女神イナンナが、兄より牧羊神ドゥムジを夫にするよう勧められるが、農夫エンキムドゥが良い、と言い張る。ドゥムジが弁舌を揮って、イナンナの好意を得て夫になり、エンキムドゥも身を引く、という物語だ。

 いずれも、おおらかな神話時代の物語である。リフレインなど、細かい筋があるので、一読を勧めたい。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、花水木の1枚。

2016年3月29日 (火)

歌誌「コスモス」4月号「COSMOS集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年4月号の、「COSMOS集」を読みおえる。

 同集は、入会よりの「その二集」と、それに次ぐ「あすなろ集」の、特選欄(各5首、まれに6首掲載)である。

 今号は年度替わりで、昇級後のメンバーであり、新しい特選者が多いようだ。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。「あすなろ集」特選より、S靖子さんの「旅に誘はる」5首から。

白犬をリュックに背負ふ人もゐて冬の散歩のメンバー多彩

 語調がなめらかで、結句を含めて自由さが感じられる。

Photoダウンロード写真集「フォト満タン」より、桜の1枚。

2016年3月28日 (月)

椿、連翹

Photo

Photo_2

 庭に春の花木が咲いている。

 左は薄いピンクの椿「羽衣」。右が白い「都鳥」。

 共に蓮華咲きの古典名花である。

Photo_3

Photo_4 左が椿の「岩根絞り」。

 これも古典名花。

 右は連翹である。大株を囲っているが、思うように整わない。

2016年3月27日 (日)

歌誌「コスモス」4月号「その一集」特選欄・読了

 結社歌誌「コスモス」2016年4月号の、「その一集」特選欄を読みおえる。

 1冊は、2千数百名の3首~5首、他に批評等を収めるので、1ヶ月で読みおえる事は困難である(僕は何回か、読みおえた事があるのみ)。

 それで「月集」と、続く特選欄を先に読み、それから普通の選の歌を読むように、どうしてもなる。

 今回、僕が付箋を貼ったのは、次の1首。Y・啓子さんの5首より。

戦死の父、過労死の母偲びつつ戦後七十年の除夜の鐘聞く

 戦争は、兵の父を飢餓死させ(他の歌に拠る)、遺った母を過労死させ、その子の自分をも苦しめたであろう。苛酷・悲惨な事である。

Photo_2ダウンロード写真集「フォト満タン」より、桜の1枚。

2016年3月26日 (土)

「アンソロジー2015 山吹文庫」

Cimg8776 県内の詩人、K・ひろさんより、「アンソロジー2015 山吹文庫」を頂いた。

 2016年2月・刊。13名・13編の詩を収める。

 川上明日夫さんが指導する詩塾「山吹文庫」の、研鑚をまとめた詩集。

 内容ではない気掛かりがあり、アップが遅くなった。

 福井県で唯一・芸術派の詩誌「木立ち」代表の川上さんの指導らしく、レトリック一杯の詩群である。

 中でもT・百合子さんの「茶々とねね」が興深かった。猫の視点で、生活を匂わせつつ、結末はシュールだった。

 初めて頂いた詩集なので、毎年に発行されているアンソロジーかは、判らない。

椿2種と白木蓮

Photo_3

Photo_4

 庭で椿が咲いている。

 左は「春の台(うてな)」である。花粉がこぼれた。

 右は「薩摩紅」である。少しボヤケている。

Photo_5

Photo_6  白木蓮も咲き始めた。

 左が全景。直幹が先で折れて、大木にならない。

 右は枝先の花である。

2016年3月25日 (金)

近藤芳美「岐路以後」

Cimg8755 今月16日の記事「届いた2冊」で紹介した2冊より、近藤芳美・遺歌集「岐路以後」を読みおえる。

 3月19日の記事(←リンクしてある)で紹介した、生前版「近藤芳美集」最終歌集「命運」のあと、単行本・歌集「岐路」を読みたかったが、Amazonではプレミアムが付いて買えず、次の遺歌集「岐路以後」を読んだ訳である。

 2007年、砂子屋書房・刊。

 函、帯(岡井隆・帯文)。

 2004年~2006年の歌に、夫人の「あとがき」を付す。

 近藤芳美は晩年、夫婦でケア付き高齢者マンションに住み、落ち着いた生活だったようだ。

 以下に7首を引く。

今日のため綻ぶ桃の花の届くいずくか早き春を育てて

時定め厨房の下に甘え啼く軽鴨のつがいの餌に足れば去る

眼を病みてひかりと影と見失う吾がための視野冬に向かいて

一兵の妻なりにしを待ちて病む一生の後の後遺症とも

人間の生死の無明ようやくに避け得ざる宿命に相向かうため

妻の鬱なおいつまでか黙し合うのみの一と日の昏れなずむころ

マタイ受難曲そのゆたけさに豊饒に深夜はありぬ純粋のとき

2016年3月24日 (木)

「シュメール神話集成」(4)

 ちくま学芸文庫「シュメール神話集成」より、「イナンナの冥界下り」を読みおえる。

 同(3)「エンキとニンフルサグ」は、今月15日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 「イナンナの冥界下り」359行は、欠けている所も少なく優れているが、残念な事に結末部分を欠いている。この本では、断片A、Bを付して、少しだけでも助けにしようとしている。意志的な冥界下りの説話は、まだ読んだ事がなかったようだ。

 ストーリーは長くなるので、ここでは述べない。ネットでこの題名で検索してください。神話の枠組みに沿った部分もあるようだ。121の訳注を頼りに、読み進めた。

Photo「フリー素材タウン」より、椿の1枚。

2016年3月23日 (水)

「おりん」を買いました。

Cimg8766 先日、Amazonに注文して、「ナカムラ商事」より、おりん3点セットを買った。

 おりん(直径7、5センチ)、りん台(プラスチック製)、りん棒の3点である。

 値段は、2,220円(消費税・込み、送料・無料)。

 仏具ではなく、音色を楽しむためである(罰が下りませんように)。打ち方を変えて、音色を変えられる。

 元は、振り子柱時計の時鉦を楽しんでいたのだが、動かなくなって処分した。替わりに買った柱時計は、時鉦が電子音で、今ひとつ楽しめない。

 そこで思いついて、小さい、おりんを買った。読書やネットに疲れた時、慰めてくれそうである。

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