「梅崎春生全集」第1巻(4)
沖積舎「梅崎春生全集」第1巻(1984年・刊)より、4回めの紹介をする。
3回めの紹介は、先の2月16日の記事(←リンクしてある)にアップした。
今回に読みおえたのは、「故郷の客」、「無名颱風」、「小さな町にて」の、3作品である。
「故郷の客」と「小さな町にて」は、戦後、従軍中の仲間を訪ねる話である。語りかける文体に、親しみを覚えそうになるけれども、従軍小説の衝迫力はすでにない。敗戦後の元軍人同士の心理的絡み合いに、僕は慣れない。
「無名颱風」は、敗戦による兵団解散の後、多くの者と帰郷途中、強い台風に遭って難儀する話である。命に関わりそうな避難の場面があって、惹き付ける力がまだある。
この第1巻には、12編の小説(多くは短編)が残っている。
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