kindle本「橘曙覧全歌集」より、第3集「春明艸」を、タブレットで読みおえる。
同・第2集「襁褓艸」は、先の8月21日の記事(←リンクしてある)で紹介した。
橘曙覧の歌は、清貧の生活を平易に詠んだ印象があるかも知れないが、画賛なのか題詠や、知友へ贈る作品も多い。
なおこの集は、有名な連作「独楽吟」を含む。
以下に5首を引く。
君としも知らで足おと門(かど)にせし駒迎へにもはしらざりけり
うつくしき蝶ほしがりて花園の花に少女の汗こぼすかな
朝夕のまじはり深くしげりゆく竹ならはばや重ぬらむ世も
たのしみは紙をひろげてとる筆の思ひの外に能(よ)くかけし時
たのしみは庭に植ゑたる春秋(はるあき)の花のさかりにあへる時々
結社歌誌「コスモス」2016年9月号より、「COSMOS集」を読みおえる。
同・「その一集」特選欄・読了は、先の8月24日の記事(←リンクしてある)にアップした。
「COSMOS集」は、「その二集」と「あすなろ集」の、特選欄である。
「栴檀は双葉より芳し」というか、いきなり特選6首デビュー(普通の特選は、5首選)という会員もいた。しかしこの2つの集は、努力で抜けられると読んでいる。
僕が付箋を貼ったのは、次の1首。I・史織さんの「クローバー」5首より。
足元に群れ咲きてゐるクローバー目があふごとく四葉を見つく
同じ「COSMOS集」のO・慧美子さんの「蕗のつくだ煮」5首には、「「よいことがあります」とレジの店員は千百十一円のつり銭くれぬ」があり、好調は運もあるのだろうか?
先の8月15日の記事(←リンクしてある)で、届いた事を報せた歌誌2冊のうち、総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2016年9月号を、ほぼ読みおえた。
巻頭20首4氏は、年齢順らしい。トップバッターの尾崎左永子(以下、敬称略)の「鎌倉雑唱」には、もっと期待したのだが。
ファンめいた心理があって、その理由が同誌(?)に連載された「栄花物語」(?)の現代語訳が優れていたからだ。
少し脱線するが、河野裕子と森岡貞香の全歌集が、なぜ発行されないのだろう?僕は買う積もりだし、ファンは多いだろうに。
栗木京子による高野公彦へのインタビュー「ぼくの細道うたの道 4」は、第1歌集出版、職場の先輩・小野茂樹(歌人)の交通事故死、等に及んで詳しい。
結社歌誌「コスモス」2016年9月号より、「その一集」特選欄を読了した。
先行する同・「月集」は、先の8月20日の記事(←リンクしてある)にアップした。
「その一集」特選欄の掲載は、9選者×5名×5首の、225首である。
僕が付箋を貼ったのは、次の1首。Y・とし子さんの5首より。
ぢぢばばと暮らさぬ子らが帰り来て担ぐ御輿のやがてさびしゑ
父母の実家に帰省して、田舎の祭のお神輿を担ぐ孫息子らだろうか。言葉の運びがなめらかで、結語の「ゑ」が効いている。
kindle本「橘曙覧全歌集」より、第2集「襁褓艸」を、タブレットで読みおえる。
第1集「松籟艸」は、8月3日の記事(←リンクしてある)で紹介した。
このkindle版では、詞書(ことばがき)が元のままのようで、それらを省略した幾つかの全歌集註釈版に優るようである。
まれに国粋的な歌があって、戦時中に利用されたかと思う。
以下に5首を引く。
朝かぜにゆられて落(おつ)るささ栗に小笠(おがさ)うたるる秋のみ山路
はしたなくしか鳴(なき)たてて山里の垣ねすぎゆく此夜ごろはも
見に来よときのふいひける山寺のもみぢゝりぬと聞くはまことか
一日経ば一日近づく故さとの空なつかしみ道いそぐらむ
さき出(いで)てまだいはけなきをみなへしいかでか君にまかせらるべき
8月15日の記事(←リンクしてある)で紹介した歌誌2冊の内、結社歌誌「コスモス」2016年9月号の、作品欄トップ「月集」を読みおえる。
ここで「月集」と呼ぶのは、「今月の四人」「月集スバル」(2つは選者、選者経験者の欄)、「月集シリウス 特別作品」(12名×5首)、「月集シリウス」(4首or5首)の、4欄の事である。
「月集シリウス 特別作品」には、柏崎氏夫人の挽歌、K・絢さんの出産の歌もあって、心うたれる。
僕が付箋を貼ったのは、次の1首。「月集シリウス」のM・則子さんの5首より。
軒は鳩、納戸は守宮と住み分けて夫の生家の店子となれり
人間も住み分ける事に足らえば、争いはごく少なくなる筈だが。
Amazonに予約注文してあった、総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2016年9月号が、8月12日に発送案内があり、翌13日(土曜日)に届いた。
読みおえたなら、ここで紹介したい。
同日、同誌の10月号を予約注文した。
また同時に、結社歌誌「コスモス」2016年9月号が届いた。通常は17日くらいに届くので、驚いた。盂蘭盆会の関係で、毎年8月は、早く届くのだった。
僕の歌は、10首出詠の内、3首選だった。内容は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、8月14日付け記事(←リンクしてある)に横書きながらアップしたので、ご覧ください。
結社歌誌「コスモス」2016年8月号より、「その一集」通常蘭(特選欄・以外)を読みおえる。
同・「COSMOS集」読了は、先の7月30日付けの記事(←リンクしてある)にアップした。
「その一集」と「月集シリウス」の間に、もう1クラスを作って、「その一集」の過密を解消したら、どうだろうか。
僕が付箋を貼ったのは、次の1首。I・光正さんの4首より。
バイオにて化けし色濃き花避けて岡虎尾買ふ地下の花屋に
僕は大輪の華やかな花を買いがちだが、上の1首も1見識と思う。助詞の省略を補って読めるのは、読む側の修練故だろうか。
ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第10歌集「地の世」を読みおえる。
第9歌集「眠つてよいか」は、今月6日の記事(←リンクしてある)で紹介した。
「地の世」は、2010年、角川書店・刊。304首。
「地の世」は、2010年に90歳で亡くなった竹山広の遺歌集である。
前年、「現代短歌大賞」を受賞している。
「十字架上のおんくるしみの末端に加へたまへと祈りたり今日は」の1首があるごとく、善悪の意味で、敬虔なクリスチャンだった。歌にはあまり詠まなかったけれども。
このあと全歌集には、すべての歌集の解題、略年譜、初句索引、全歌集*目次細目、等を収めている。
以下に7首を引く。
臍を見て妻が戻しし南瓜はどなたの腹にをさまりたらん
介護3に格上げされて横たはる未明を走り去るオートバイ
のぼるかと見えし園児ら陸橋の下に並びて別れゆきたり
床上に飯を食はむと起きて座ることにさへわが妻にすがるを
図書館に並べられゐむわが本よ誇らしき顔を見せつつ並べ(注・蔵書一切を譲って)
妻としてありしこの世の歳月のくるしかりにしこころを語れ
歌人としてここまで至りえしことをわが生涯のよろこびとせよ
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