カテゴリ「歌書」の467件の記事 Feed

2016年8月 6日 (土)

竹山広「眠つてよいか」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第9歌集「眠つてよいか」を読みおえる。

 第8歌集「空の空」は、先の7月27日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 「眠つてよいか」は、2008年、ながらみ書房・刊。347首。

 「あとがき」には、「前歌集『空の空』を出してまもなく、脳に出血があり、さらに二ヶ月後、再出血という事態を招き、行動の自由を奪われてしまった。」と述べる。

 家うちを歩く事は出来たが、ひとりでの外出は適わなかったようだ。

 全歌集は、あと遺歌集「地の世」を残すのみである。

 以下に7首を引く。

一年に一、二度むすぶネクタイを結びをり渡世円満のため

樹樹の葉を濡らすだけでも降らぬよりましよと雨の肩をもつ妻

三階のエレベーターが一階に降りきて三階に昇りくれたり

幹だけにされて旱天に突つたてり憤怒の棒のやうなる楓

死ぬときは死ぬとかならず言つてよと泣きゆきし妻しづかになりぬ

十五歩の廊下を十たび行き戻りして昼まへのリハビリ終る

診らるるはわがしわしわの躰にて大事なことはみな妻がきく

Photo「フリー素材タウン」より、ひまわりの1枚。

2016年8月 3日 (水)

橘曙覧「松籟艸」

 kindle本「橘曙覧全歌集」より、第1集「松籟艸」をタブレットで読みおえる。

 全歌集の購入は、今年4月21日の記事(←リンクしてある)にアップした。補遺を含めて、6集を収める。

 当時には珍しく、庶民生活を描いた作品が多い。江戸、京都へのぼる知人を送る歌が、羨ましそうである。

 知遇を得て、銀山を描いた、大きな連作がある。

 4首を手帳に写したので、以下に引く。

はふ児にてわかれまつりし身のうさは面だに母を知らぬなりけり

いなごまろうるさく出でてとぶ秋のひよりよろこび人豆を打つ

よればよりかへればかへり夕波のさわぎにつるる川千鳥かな

武蔵野のはてなく待たせわびさすな老いませる父いはけなき児に

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、ダリアの1枚。

2016年7月31日 (日)

歌誌「歌壇」8月号

Cimg8939_2 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2016年8月号を、ほぼ読みおえる。

 購入は、先の7月18日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 短歌作品をおもに読み、散文では読まなかったものも多い。

 馬場あき子「空襲と牡丹」20首は、敗戦直前の動員時代を描く。

 道浦母都子「十年忌」20首で、樺美智子を詠んだ2首の内、「樺忌」は今年で喜寿、と詠ったのは、樺美智子の生年より数えての事だろう。16首めの「苦し抜き」は、「苦しみ抜き」の誤植か。

 ニューウェーヴの旗手・穂村弘の「五百円玉の夜」20首には、あまり感心しなかった。

2016年7月30日 (土)

「コスモス」8月号「COSMOS集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年8月号より、「COSMOS集」を読みおえる。

 先の「その一集」特選欄の読了は、1昨日の記事にアップした。

 「COSMOS集」は、「その二集」と「あすなろ集」の特選欄である。

 短歌の齢の若い人の活躍はたのもしい。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。「その二集」特選、H・照美さんの「バナナ一房」6首より。

こだはりを捨てろと言はれ帰宅後に泣きながら読む「かもめのジョナサン」

 僕は「かもめのジョナサン」を読んでいないが、世の中は思う通りに行かない。短歌を詠む事が、世をくぐる助けになれば良いが。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、ダリアの1枚。

2016年7月28日 (木)

「コスモス」8月号「その一集」特選欄・読了

 結社歌誌「コスモス」8月号より、「その一集」特選欄を読みおえる。

 先行する「月集」は、1昨日の記事にアップした。

 「その一集」特選欄は、9選者×5名×5首の掲載である。

 2年間で8回以上の特選か、結社内外の賞を受賞すると、次の「月集シリウス」へ昇級できるという、難関がある。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。N・淑子さんの5首より。

母の日のカーネーションを抱へきてクロネコは乞ふ「判子下さい」

 純粋な青年(娘さん?)を思わせて、ユーモアがある。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、ダリアの1枚。

2016年7月27日 (水)

竹山広「空の空」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第8歌集「空の空」を読みおえる。

 第7歌集「遐年」は、先の7月19日付けの記事(←リンクしてある)にアップした。

 「空の空」は、2007年、砂子屋書房・刊。513首。

 社会に向けアンテナを張りながら、生活詠が多くなったようである。

 以下に7首を引く。

よろこべる雨戸の音す幾月か空きゐたる川の向うの家に

たてつづけに攻めのぼりくる台風を躱しくださる九州の神

酸素吸ひながら捧ぐる黙禱のまなこを瞑りをれば終りぬ

五百歩のつもりを七百歩にのばし背高泡立草に毒づく

わが次男、三男ともに肥満にて長男とわれ引きかへに痩す

麻酔銃をうたれて山に戻されし飢ゑたる熊よ人をおそれよ

孫五人曾孫ひとりの生日を妻は記憶す恩寵のごと

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、ダリアの1枚。

2016年7月26日 (火)

「コスモス」8月号「月集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年8月号より、「月集」を読みおえる。

 「月集スバル」には、「コスモス」トップ(無選5首掲載)としての、緊張があるだろう。

 「月集シリウス」には、特選(12名)、4首掲載or5首掲載の競いがあるだろう。

 もちろん、短歌に拠る救済を求め、良い歌を詠みたい、という願望は、会員全員のものであろう。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。「月集シリウス」のK・絢さんの5首より。

妊娠を知つた瞬間ダイヤルが回りかちりと視界が変はる

 わが子が1番大事、という思いだろうか。生命連鎖へ繋がった思いだろうか。

Photo「フリー素材タウン」より、山・高原の1枚。

2016年7月19日 (火)

竹山広「遐年」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第7歌集「遐年」を読みおえる。

 第6歌集「射禱」は、先の7月10日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「遐年」は、2004年、柊書房・刊。650首。なお題名は「長生き、長命、長寿」等の意である。

 健康の不安(原爆被爆症を含めて)がありながら、詠いぶりは自在さを増しているようだ。

 イラク戦争を詠んだ35首連作「茶の間の戦争」がある。

 以下に7首を引く。

そんなにも赤くりつぱな唇に仕上げて何を言ひにきたのか

八月も九月も臥して末の子が買ひてくれたる甚平も着ず

束ねたるいのちをビルに射込むまで迷ふをゆるさざりし憎悪や

晩酌をやめし理由を問ひくるる人も絶えたり一年過ぎぬ

差し出だす手に電話機を渡すとき芹の香のする妻とおもひき

あはれひとも時代病めりと歌ひをり病まぬ時代のあるもののごと

ストーブに焼きて朝夕食ふ餅のあな飽かずよと呆れつつ食ふ

Photo

「フリー素材タウン」より、山景の1枚。

2016年7月18日 (月)

歌誌2冊

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 7月14日に楽天ブックスへ注文した、総合歌誌「歌壇」2016年8月号が、翌日の15日に届いた。いつものAmazonでないのは、わずかな楽天ポイントがあったため。

 特集は、「短歌が語る敗戦終戦――昭和二十年代の歌集を読む」。

 結社歌誌「コスモス」2016年8月号が、7月16日(土曜日)に届いた。3連休明けの19日に届くと思っていたから、驚くとともに、発行事務室に感謝。

 「第13回純黄賞発表」と、「追悼 柏崎驍二氏」がある。

 僕の歌は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の7月17日付け記事(←リンクしてある)にアップしたので、横書きながらご覧ください。

2016年7月17日 (日)

「その二集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年7月号より、「その二集」を読みおえる。

 先行する「あすなろ集」の読了は、昨日の記事にアップした。

 これで「新・扇状地」(2名×15首)を含め、今号の通常の短歌は、すべて読みおえた事になる。

 「その二集」は、入門欄であり、誰もがここから始まる。未来が待っている。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。S・仁さんの3首より。

花冷えの所為にし妻ははにかみつつ腕からめくる夜ざくらの下

 仲の良いご夫婦で、あてられる。

Photo「フリー素材タウン」より、山景の1枚。

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