竹山広「空の空」
ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第8歌集「空の空」を読みおえる。
第7歌集「遐年」は、先の7月19日付けの記事(←リンクしてある)にアップした。
「空の空」は、2007年、砂子屋書房・刊。513首。
社会に向けアンテナを張りながら、生活詠が多くなったようである。
以下に7首を引く。
よろこべる雨戸の音す幾月か空きゐたる川の向うの家に
たてつづけに攻めのぼりくる台風を躱しくださる九州の神
酸素吸ひながら捧ぐる黙禱のまなこを瞑りをれば終りぬ
五百歩のつもりを七百歩にのばし背高泡立草に毒づく
わが次男、三男ともに肥満にて長男とわれ引きかへに痩す
麻酔銃をうたれて山に戻されし飢ゑたる熊よ人をおそれよ
孫五人曾孫ひとりの生日を妻は記憶す恩寵のごと
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