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2016年7月19日 (火)

竹山広「遐年」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第7歌集「遐年」を読みおえる。

 第6歌集「射禱」は、先の7月10日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「遐年」は、2004年、柊書房・刊。650首。なお題名は「長生き、長命、長寿」等の意である。

 健康の不安(原爆被爆症を含めて)がありながら、詠いぶりは自在さを増しているようだ。

 イラク戦争を詠んだ35首連作「茶の間の戦争」がある。

 以下に7首を引く。

そんなにも赤くりつぱな唇に仕上げて何を言ひにきたのか

八月も九月も臥して末の子が買ひてくれたる甚平も着ず

束ねたるいのちをビルに射込むまで迷ふをゆるさざりし憎悪や

晩酌をやめし理由を問ひくるる人も絶えたり一年過ぎぬ

差し出だす手に電話機を渡すとき芹の香のする妻とおもひき

あはれひとも時代病めりと歌ひをり病まぬ時代のあるもののごと

ストーブに焼きて朝夕食ふ餅のあな飽かずよと呆れつつ食ふ

Photo

「フリー素材タウン」より、山景の1枚。

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