カテゴリ「タブレット本」の36件の記事 Feed

2016年8月30日 (火)

橘曙覧「春明艸」

 kindle本「橘曙覧全歌集」より、第3集「春明艸」を、タブレットで読みおえる。

 同・第2集「襁褓艸」は、先の8月21日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 橘曙覧の歌は、清貧の生活を平易に詠んだ印象があるかも知れないが、画賛なのか題詠や、知友へ贈る作品も多い。

 なおこの集は、有名な連作「独楽吟」を含む。

 以下に5首を引く。

君としも知らで足おと門(かど)にせし駒迎へにもはしらざりけり

うつくしき蝶ほしがりて花園の花に少女の汗こぼすかな

朝夕のまじはり深くしげりゆく竹ならはばや重ぬらむ世も

たのしみは紙をひろげてとる筆の思ひの外に能(よ)くかけし時

たのしみは庭に植ゑたる春秋(はるあき)の花のさかりにあへる時々

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、イチジクの1枚。

2016年8月21日 (日)

橘曙覧「襁褓艸」

 kindle本「橘曙覧全歌集」より、第2集「襁褓艸」を、タブレットで読みおえる。

 第1集「松籟艸」は、8月3日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 このkindle版では、詞書(ことばがき)が元のままのようで、それらを省略した幾つかの全歌集註釈版に優るようである。

 まれに国粋的な歌があって、戦時中に利用されたかと思う。

 以下に5首を引く。

朝かぜにゆられて落(おつ)るささ栗に小笠(おがさ)うたるる秋のみ山路

はしたなくしか鳴(なき)たてて山里の垣ねすぎゆく此夜ごろはも

見に来よときのふいひける山寺のもみぢゝりぬと聞くはまことか

一日経ば一日近づく故さとの空なつかしみ道いそぐらむ

さき出(いで)てまだいはけなきをみなへしいかでか君にまかせらるべき

Photo「フリー素材タウン」より、夕陽の1枚。

2016年7月13日 (水)

若山牧水「その他の随筆など」(2)

 kindle本「若山牧水大全」第3部「その他の随筆など」の後半を読みおえ、2回めの記事アップをする。

 同(1)は、先の6月27日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回に読んだのは、「水郷めぐり」~「湯槽の朝」の17編である。童謡集「小さな鶯」、小説「古い村」等を含む。

 重厚な紀行文は、山岳文学(僕は読んではいないが)に入るのではないだろうか。

 これでkindle本「若山牧水大全」のすべてを読みおえた事になる。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、朝顔の1枚。

2016年6月27日 (月)

若山牧水「その他の随筆など」(1)

 Amazonのkindle本「若山牧水大全」の第3部「その他の随筆など」より、初めの10編をタブレットで読みおえる。

 前回の同「樹木とその葉」(3)は、先の6月22日付け記事(←リンクしてある)にアップした。

 第3部が「随筆など」とある通り、今回の10編(「秋草と虫の音」~「姉妹」)にも随筆だけでなく、小説風の「一家」、小説の「姉妹」、写生文風の「鴉と正覚坊」、重厚な紀行文である「熊野奈智山」「木枯紀行」などを含む。

 書かれた時期はわからない。

 なお第3部は、全27編である。

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

2016年6月24日 (金)

kindle版「立原道造詩集」4読

 Amazonよりダウンロードした、kindle版「立原道造詩集」を、タブレットで4読しおえた。

 同・3読は、今年1月31日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回に読んだ中では、心理的抵抗より心理的敗北感のある作品に惹かれた。公式的に区切ってはいけないけれども。

 青年の純粋な心には、時代の影が鮮やかなのだ。

 彼は、肺結核を自覚し、早い死を予感していたような所がある。

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

2016年6月13日 (月)

若山牧水「樹木とその葉」(2)

 Kindle本「若山牧水大全」の随筆集「樹木とその葉」より、2回めの紹介をする。

 同(1)は、先の6月6日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回に読んだのは、「枯野の旅」より「空想と願望」に至る、7詩編である。

 Kindle本をタブレットで読むには、ぱらぱらとはページを繰りにくく、元のページに戻りにくい。詩7編なら、他の紀行文と一緒に紹介しても良かった。

 牧水が詩を書いていたとは知らず、生涯に何編の詩を書いたか、全集をもたないのでわからない。

 この7編には、57調の文語の詩、散文詩と呼ばれるべきもの、口語自由詩を含む。

 心情を素直に述べた詩が多い。初期「創作」や「詩歌時代」では詩も載せたようで、詩への眼はあったようだ。

Photo「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2016年6月 6日 (月)

若山牧水「樹木とその葉」(1)

 Kindle本「若山牧水大全」の全14歌集を読みおえ、それに続く「樹木とその葉」より、1回めの紹介をする。

 「序文に代へてうたへる歌十首」を含め、「若葉の頃と旅」に至る8編である。

 いわゆる随筆と言ってよく、紙誌の求めに応じて書かれた作品だろう。

 身辺を描いたものの他に、紀行文と呼べる旅の記録があり、深い山を訪ね、川を遡っている。自然詠などに発するものかも知れないが、社会の煩わしさを嫌った、牧水の人間嫌いの1面かも知れない。

 「若葉の頃と旅」以降は、どこまでか判らないが、詩編が続いており、次の機会に紹介したい。

Photo_2

「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2016年5月17日 (火)

若山牧水「黒松」

 Kindle本「若山牧水大全」より、遺歌集「黒松」をタブレットで読みおえる。

 前作の第14歌集「山桜の歌」は、先の4月5日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 歌集「黒松」は、牧水の没後10年(昭和13年、1938年)に、改造社より出版された。ただしその前に全集に、夫人と高弟・大悟法利雄とが1千首をまとめて、収めていたらしく夫人の歌集後書からは推察される。

 1923年~1928年の作品で、自宅建設、詩歌誌発行等のため、全国、海外まで揮毫旅行を繰り返し、健康を害して1928年、数え年44歳で没した。

 最後の歌集であり、紙本の「全歌集」には多くの補遺があるが、僕は「大全」の随筆をタブレットで読んで行こうと思う。

 以下に7首を引く。

散りやすきこころとなりて昼はいね夜半を僅かに起きてもの書く

入りゆかむ千曲の川のみなかみの峰仰ぎみればはるけかりけり

明日去ぬる港とおもふ長崎の春の夜ふけに逢へる人々

うち群れて釣れるは何の来しならむ冬めづらしき今朝の釣舟

濡縁の狭きに立ちてをろがむよわが四十三のけふの初日を

松が枝に鴉とまりつおもおもと枝のさき揺れて枯葉散りたり

酒ほしさまぎらはすとて庭に出でつ庭草を抜くこの庭草を

Photo 「フリー素材タウン」より、藤の1枚。

2016年4月21日 (木)

Kindle本「橘曙覧全歌集」

Photo AmazonのKindle本に、「橘曙覧全歌集」を見つけ、購入してパソコンに入れ、10インチ・タブレットに同期した。

 底本は、曙覧の息子、井出今滋が明治11年に刊行した歌集を基としている。それに長歌集、後世の評、小伝等を付したもののようである。

 橘曙覧はわが郷土で生まれ暮らし、文学館もある。正岡子規に称揚されて有名だったらしいが、僕たちの世代では知られていなかった。

 その理由をある歌人に尋ねると、国学者でもあった曙覧の歌は、戦時中に戦意高揚に利用され、敗戦後に反動で顧みられなくなったらしい。歌人には、大きな迷惑である。

 僕は伝記の上坂紀夫「清貧の歌人 橘曙覧」、注付き全歌集の久米田裕「橘曙覧研究」を読んだ事があるが、共に今は手許にない。Kindole本が価格200円と廉価だったので、タブレットに収めて置いた。前記の読書が、この本を読む助けとなるだろう。

2016年4月 5日 (火)

若山牧水「山桜の歌」

 Kindle本「若山牧水大全」より、第14歌集「山桜の歌」を、タブレットで読みおえた。

 この前の「くろ土」は、先月22日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 タブレットで本を読むと、残りの量がわからないので、ピックアップや時間の調整に困る場合がある。

 「山桜の歌」は、1923年(大正12年、牧水39歳)、新潮社・刊。741首。

 「くろ土」に続いて、家での執筆・家族等、また重ねる旅行を詠んで、充実した歌集である。自序で、「くろ土」が動的なら「山桜の歌」が静的である旨を述べている。

 以下に8首を引く。

ちりぢりに燃ゆるはさびし烏羽玉の夜空のやみに見えわたる野火

もぎとりていまだ露けき椎茸を買へと持て来ぬ春日の縁に

生れ来てけふ三日を経つ目鼻立そろへるみれば抱かむとぞおもふ

つつましく心なりゐて富士が嶺の裾野にまへるうづら鳥見つ

ガラス越し射す日ながらにわが頬にほてりおぼゆる今日の冬の日

うすべにに葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山桜花

学校にもの読める声のなつかしさ身にしみとほる山里すぎて

貧しくて時を惜しめば命さへみじかきものに思ひなさるれ

Photoダウンロード写真集「フォト満タン」より、桜の1枚。

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