若山牧水「山桜の歌」
Kindle本「若山牧水大全」より、第14歌集「山桜の歌」を、タブレットで読みおえた。
この前の「くろ土」は、先月22日の記事(←リンクしてある)で紹介した。
タブレットで本を読むと、残りの量がわからないので、ピックアップや時間の調整に困る場合がある。
「山桜の歌」は、1923年(大正12年、牧水39歳)、新潮社・刊。741首。
「くろ土」に続いて、家での執筆・家族等、また重ねる旅行を詠んで、充実した歌集である。自序で、「くろ土」が動的なら「山桜の歌」が静的である旨を述べている。
以下に8首を引く。
ちりぢりに燃ゆるはさびし烏羽玉の夜空のやみに見えわたる野火
もぎとりていまだ露けき椎茸を買へと持て来ぬ春日の縁に
生れ来てけふ三日を経つ目鼻立そろへるみれば抱かむとぞおもふ
つつましく心なりゐて富士が嶺の裾野にまへるうづら鳥見つ
ガラス越し射す日ながらにわが頬にほてりおぼゆる今日の冬の日
うすべにに葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山桜花
学校にもの読める声のなつかしさ身にしみとほる山里すぎて
貧しくて時を惜しめば命さへみじかきものに思ひなさるれ
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