カテゴリ「歌書」の467件の記事 Feed

2016年7月16日 (土)

「あすなろ集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年7月号より、「あすなろ集」の作品を読みおえた。

 先行する「その一集」読了の記事(←リンクしてある)は、先の7月11日にアップした。

 「あすなろ集」の会員数は、少しずつ増えているかも知れない。

 好悪両面で若さがあるので、僕の良い刺激になる。

 「少し努力すれば昇級できる」と言われており、昇級を含めて励まれたい(僕の場合を含めて)。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。T・麗子さんの3首より。

手料理を持ち寄る五人花見とはほど遠きカラオケパーティとなる

 ふだんの不満が噴き出して、カラオケパーティで盛り上がったのだろう。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、朝顔の1枚。

2016年7月15日 (金)

小池光「思川の岸辺」

Cimg8928 先の7月7日の記事(←リンクしてある)で、購入を紹介した、小池光・歌集「思川の岸辺」を読みおえる。

 角川書店、2016年・2版。542首。

 第67回・読売文学賞・受賞。

 夫人を亡くした挽歌集として、絶唱もあるが、出版サイドの煽りもあったようだ。

 娘さんの結婚、お孫さんとの交流、常の猫との暮らしなどが詠まれる。

 歌集の真中あたりか、「六十を過ぎしころより明らかにわが幸運は続かずなりぬ」と嘆いたが、本歌集によって読売文学賞を受賞している。

 以下に7首を引く。

 収載歌数も多く、たくさんの付箋を貼ったのだが、例に付いて7首に絞った。

ひよどりの水浴びをするありさまを突然みては妻とわれわらふ

ちちははとはらからとのみ集ひたる簡素の宴に時は流れて

母親となりたる志野をみるときに志野かはゆしとせつにおもへり

白鷺の眠る木ありてことしまた白鷺ねむるきみはなくとも

ああ和子悪かつたなあとこゑに出て部屋の真ん中にわが立ち尽くす

「ブ!」といひてブロッコリーに食ひつける二歳の孫をわが持てりけり

一日に九時間ばかりも眠るわれくるしみやまぬ夢を見ながら

 

2016年7月12日 (火)

山田航・編著「桜前線開架宣言」(2)

 山田航・編著「桜前線開架宣言」を読みおえ、2回めの記事アップをする。

 同(1)は、先の7月5日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 同書は、2015年、左右社・刊。

 今回、僕が読んだのは、1980年代生まれ歌人19名、1990年代生まれ歌人2名の、各56首だった。

 世代の違いは、歌の感興の違いが大きい。1980年前後生まれの歌人に少し共感するのは、一人息子の世代だからだろうか。

 他に2首、付箋を貼った。加藤千恵「傷ついたほうが偉いと思ってる人はあっちへ行って下さい」。服部真里子「人の手を払って降りる踊り場はこんなにも明るい展翅版」。

Photo_2

フリー素材サイト「Pixabay」より、朝顔の1枚。

2016年7月11日 (月)

「その一集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年7月号より、「その一集」を読みおえる。

 「その二集」と「あすなろ集」の特選欄である「COSMOS集」は、先の6月30日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 いつもは「その一集」の途中で、「コスモス」次号が届き、ここへは記事アップしないのだが、今号は読みおえられた。

 「その一集」は会員が多く、「コスモスの吹き溜まり」とも呼ばれ、桶の中の鰻のような感じだ。「その一集」より「月集シリウス」へ昇級する会員に比べ、「あすなろ集」より「その一集」へ昇級する会員の数が圧倒的に多い。愚痴を話しても致し方ない。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。A・清さんの3首より。

爆買ひの「爆」の字面のうとましさ空爆に遭ひし世代の吾は

 同じ言葉でも、経験により、受け取り方が違うものだ。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、朝顔の1枚。

2016年7月10日 (日)

竹山広「射禱」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第6歌集「射禱」を読みおえる。

 第5歌集「千日千夜」は、先の7月2日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 歌集「射禱」は、2001年・刊の生前版「竹山広全歌集」に未刊・第6歌集として収録された。457首。

 「全歌集」により斎藤茂吉短歌文学賞、「射禱」により詩歌文学館賞、迢空賞を受賞した。

 80歳を越え、自らの老いを意識した歌が多いようだ。

 以下に7首を引く。

植ゑて三年待ちたる梅の二つ咲き三つ咲き今朝は八つをかぞふ

孫よわが幼きものよこの国の喉元は熱きものを忘れき

右ひだり近視度の差の縮まらぬ老いてしぶときふたつのまなこ

曲らなくなりしは骨か筋肉か斯かるからだを足に運ばす

この橋かどうかためらひゐたるまにルーズソックスは渡り終りぬ

核の世をつひに無力に生きたりとおもふ朝より汗によごれて

まゐつたと言ひて終りたる戦争をながくかかりてわれは終りき

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、朝顔の1枚。

2016年7月 7日 (木)

小池光「思川の岸辺」

Cimg8928 Amazonに注文した、小池光歌集「思川の岸辺」が届いた。

 角川書店、2016年・2版。

 団塊の世代(1947年・生)ながら、夫人を亡くされたという事で、惹き句に惹かれて注文したのだが、お孫さんの歌なども重なる。

 僕は砂子屋書房の「現代短歌文庫」3冊で、彼の初期歌集6冊を読んでいる。

 その最後の「滴滴集」は、2013年12月30日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 この「思川の岸辺(おもひがはのきしべ)」は、1ページ2首(1首2行書き)、542首等のため、分厚く(333ページ)重い。

 読みおえたなら、ここで紹介したい。

2016年7月 5日 (火)

山田航・編著「桜前線開架宣言」(1)

Cimg8668 昨年12月28日の記事(←リンクしてある)で、購入を報せたままだった、山田航・編著「桜前線開架宣言」を、ぼちぼちと読む。

 2015年、左右社・刊。1970年以降生まれの40歌人を、それぞれ56首と解説で紹介している。

 今回読んだのは、1970年代生まれの、大松達知より光森裕樹に至る、19歌人である。

 いわゆるニューウェーブと呼ばれる歌人の作品に、関心はあるが、心酔する事はない。

 著者は、寺山修司から短歌に入ったと書いているが、僕は石川啄木から入った、旧い歌詠みである。

 あと21歌人が残り、これからも読みゆき、ここで紹介したい。

2016年7月 2日 (土)

竹山広「千日千夜」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第5歌集「千日千夜」を読みおえる。

 第4歌集「一脚の椅子」は、先の6月28日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「千日千夜」は、1999年、ながらみ書房・刊。486首。

 阪神淡路大震災など時事を詠むのは、被爆、敗戦の体験を経て来ていることが大きいのだろう。

 生活詠が豊かだが、人生を振り返る詠も多くなる。

 以下に7首を引く。

居合はせし居合はせざりしことつひに天運にして居合はせし人よ

戦ひし十五年戦はぬ五十年過ぎて思へば是非あきらけく

若き死を羨みしことかつてなし力尽きはてて死ぬべきわれは

寝たきりになりて長生きする夫を死ねよと思はざるはずのなし

切支丹の芋喰らひよと嘲られことばなかりし少年も老ゆ

何をなし終りてそこに置かれたる電話の横のモンキースパナ

癒えて帰るわれを疑はず待ちくれし三千日のかけがへもなし

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

2016年6月30日 (木)

「COSMOS集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年7月号より、「COSMOS集」を読みおえる。

 その前の「その一集」特選欄・読了は、先の6月25日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「COSMOS集」は、「その二集」と「あすなろ集」の特選欄である。この集が、「コスモス」で最も元気があるようだ。

 特選ではないが、「あすなろ集」昇級してすぐ亡くなられたT・加寿美さん(わがF支部会員)の4首が、名前に故を付されて載った。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。T・泉さんの「陽と風」5首より。

子の口にスプーン運べり被災地へ物資とどくる人が発つ日も

 共に、命を大事にすることでは同じである。

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

2016年6月28日 (火)

竹山広「一脚の椅子」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第4歌集「一脚の椅子」を読みおえる。

 前の第3歌集「残響」は、6月14日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「一脚の椅子」は、1995年(75歳)、不識書院・刊。449首。

 1996年、歌集「一脚の椅子」により、第4回「ながらみ現代短歌賞」を得ている。

 彼はスロースターターだったが、確実に実績を積んだ。

 以下に7首を引く。彼は生活詠にも優れている。

はづしたる眼鏡を枕べにおけば心得て眼の眠らむとする

ビール一本もて余すわれに加勢して計らひのなく妻の酔ひゆく

三週間のべ五万機の空爆に耐ふるはいかなる怒りにかあらむ

この道に斑猫の飛ぶころとなり通院の足歩歩をよろこぶ

(を)ざかりとなりし二人子盆にきて四日もゐるといふではないか

原爆の傷痕(きず)にておのがなきがらと決められゐたり暁(あけ)の眠りに

ゲートルに巻き締められしことのなき脛をならぶる駅伝走者

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

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