竹山広「一脚の椅子」
ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第4歌集「一脚の椅子」を読みおえる。
前の第3歌集「残響」は、6月14日の記事(←リンクしてある)にアップした。
「一脚の椅子」は、1995年(75歳)、不識書院・刊。449首。
1996年、歌集「一脚の椅子」により、第4回「ながらみ現代短歌賞」を得ている。
彼はスロースターターだったが、確実に実績を積んだ。
以下に7首を引く。彼は生活詠にも優れている。
はづしたる眼鏡を枕べにおけば心得て眼の眠らむとする
ビール一本もて余すわれに加勢して計らひのなく妻の酔ひゆく
三週間のべ五万機の空爆に耐ふるはいかなる怒りにかあらむ
この道に斑猫の飛ぶころとなり通院の足歩歩をよろこぶ
男(を)ざかりとなりし二人子盆にきて四日もゐるといふではないか
原爆の傷痕(きず)にておのがなきがらと決められゐたり暁(あけ)の眠りに
ゲートルに巻き締められしことのなき脛をならぶる駅伝走者
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