竹山広「千日千夜」
ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第5歌集「千日千夜」を読みおえる。
第4歌集「一脚の椅子」は、先の6月28日の記事(←リンクしてある)にアップした。
「千日千夜」は、1999年、ながらみ書房・刊。486首。
阪神淡路大震災など時事を詠むのは、被爆、敗戦の体験を経て来ていることが大きいのだろう。
生活詠が豊かだが、人生を振り返る詠も多くなる。
以下に7首を引く。
居合はせし居合はせざりしことつひに天運にして居合はせし人よ
戦ひし十五年戦はぬ五十年過ぎて思へば是非あきらけく
若き死を羨みしことかつてなし力尽きはてて死ぬべきわれは
寝たきりになりて長生きする夫を死ねよと思はざるはずのなし
切支丹の芋喰らひよと嘲られことばなかりし少年も老ゆ
何をなし終りてそこに置かれたる電話の横のモンキースパナ
癒えて帰るわれを疑はず待ちくれし三千日のかけがへもなし
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