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2016年3月19日 (土)

近藤芳美「命運」

 岩波書店「近藤芳美集」(全10巻)の第5巻より、第22歌集「命運」を読みおえる。

 歌集編・全5巻の、最終巻の最終歌集である。

 前回の「未明」は、今月12日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 原著は、2000年、砂子屋書房・刊。1998年、1999年の430首。

 この2年の間にも、韓国、ニュージーランド、中国東北部の海外詠があり、社会詠、等がある。

 第5巻にはこの後、佐伯裕子の解説、全歌の上3句に拠る「短歌索引」等を収める。

 なお第6巻以降の、歌論、小説等は、のちに読む事にして、この集の僕の読書を一旦、中断したい。

 以下に7首を引く。

召さるるとことばはありき宇品なる冬日の埠頭在りしままながら

武寧王陵重なる古墳のまに紛れひかり夏なすつつじの盛り

市場への投機が生みやまぬ危機となし資本主義制覇の十年の後

九八年終うとしバグダード攻略を遥かに伝えいまだ地の眠り

花を飾る庭を競いて町ありきクライストチャーチユーカリ高く

知るものを老いの孤立の位置といえ稀に人と会うことばへの飢え

ためらいの長き後なる旅ながら瀋陽の大き曠野の朝焼け

Photo「フリー素材タウン」より、椿の1枚。

 

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