阿部昭の短編小説集「無縁の生活 人生の一日」を、読みおえる。
講談社文芸文庫、1992年・刊、帯。
この本は、2冊の短編小説集より、20編を収録したものである。
彼もいわゆる「内向の世代」の一人だろうか。
小説は、私小説ふうのものが多い。もっとも、本人も出版社も、私小説だとはうたっていないので、フィクションも混じるのだろう。
日本経済の高度成長期と青春が一致して、生活において精神的苦しみの少なかった世代ではないか?
作家として、庶民との違和が描かれるが、主題としては心の空虚感しかないのではないか。
ある意味で、作家が幸福な時代だった。
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