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2010年6月 4日 (金)

福田章二「喪失」

002  福田章二の短編小説集「喪失」を読みおえる。

 中公文庫、昭和48年・刊。

 この本には、「蝶をちぎった男の話」、「喪失」、「封印は花やかに」の、3編の小説が収められている。作者の19歳~21歳の作品である。

 うち「喪失」は、第3回中央公論新人賞を受賞している。

 これは、時間とお金と才能をもてあました、ブルジョア青年の物語である。

 近親者との心理的駆け引き、自己分析に、多大なエネルギーを費やす。お金のかからない、時間を費消する、ゲームである。繊細さは認めるけれど。

 この3作のあと、彼は沈黙した。10年後に、庄司薫・名の「赤頭巾ちゃんシリーズ」4作がベストセラーになって(僕も読んだ)、注目を集めたが、そのしばらくあとから再び沈黙し、現在に至っている。

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コメント

KMさん、コメントを下さり、ありがとうございます。
家の庭に白木蓮の木がありますので、花どきにおいでください。
KMさんの家の庭にも、あるのでしょうか。

「赤頭巾ちゃんシリーズ」は、〈僕〉の口語体で書かれた、当時新鮮な文体だったと記憶しています。その後この本も読んで、たしか親戚の蔵書を虫干しする話とか、白木蓮の香りとかが出てきたはず。私が白木蓮に引かれるのはあれ以来です。

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