村上春樹「意味がなければスイングはない」
村上春樹の音楽批評集(裏表紙の紹介文では、「音楽エッセイ」となっている)、「意味がなければスイングはない」を読みおえる。
文春文庫、2008年・刊。
ジャズ、クラッシック、ロック、フォークソングなどに就いて、かなり長い批評が10編、載っている。
僕はそれらについて、ほとんど知らないが、楽しく読み進むことができた。
彼のやわらかい文体と、本音に近い言葉(時には苦言を呈する)に惹かれて。
そして、彼は自分の文学観(自作を含めて)に就いてほとんど語らないが(最近、長編インタビュー集が出たそうだけれど)、ランニングについて語った言葉や、音楽について語った言葉に、ちらとそれが表れる。たとえば以下のように。
「そして年齢的なことを言えば、僕は、これもあらゆる芸術の領域において、より『ゆるく、シンプルな意味で難解な』テキストを求める傾向にあるかもしれない。」
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